2011 Fiscal Year Annual Research Report
初歩的粒子概念導入による「なぜそうなるのか」を重視した小学校物質学習の構築と実践
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22500840
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
村上 祐 岩手大学, 教育学部, 特任教授 (60006327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 隆明 岩手大学, 教育学部, 教授 (10109150)
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Keywords | 粒子概念 / 小学校理科 / 科学的思考力 / 習得と活用 |
Research Abstract |
1.研究経過 2年目の2011年度は全体研究会を2回開催した。第1回目(6月)では,これまで行ってきた粒子概念導入に関する研究を8月の日本理科教育学会で報告するため,研究内容を吟味・検討した。また,第2回目(11月)では,3年目の最終年度に向けての研究方針を検討した。特に,これまで行った粒子概念の授業実践・研究を引継ぎ・活用する実践研究や,あまり粒子導入に相応しくないと思われていた単元に挑戦するような実践をメンバーから提案してもらい,「なぜそうなるのか」がわかり「科学的思考力」を向上させることを主目的に内容等の検討を行った。物品費として,改訂された小学校教科書を複数セット購入し,メンバーに配布した。 2.研究内容と成果 2011年度も「ものはすべて小さな粒でできている」という「初歩的粒子概念」を小学校の物質学習に導入する授業実践をいくつか行った。新しい形式として,初歩的粒子概念を導入して学習した単元の後の単元で,学習した粒子概念を活用するような授業実践も行い,児童の理解度が深まることを確認した。また,小学校段階で初歩的粒子概念を学習済みであるという前提に立った中学校の物質学習のあり方や,小中高校を通しての粒子概念の系統的育成についても検討した。さらに,これらの実践をより有効なものとするために、いくつかの教材開発を行った。 3.研究成果の報告 日本理科教育学会全国大会で8件の研究を発表するとともに,全国の研究者と意見交換を行った。その会場が盛岡から遠い島根大学であったこともあり,今年度は旅費が当初予定額を超えた。また,「初等理科教育」誌(日本初等理科研究会)に教材開発の論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校物質学習のいくつかの単元に「初歩的粒子概念」を導入した授業を行い,小学生にも授業内容が「なぜそうなるのか」十分理解されることを確認できた。また,「初歩的粒子概念」により単元同士のつながりを重視した実践研究を実施した。さらに,小学校における粒子概念の導入についての内外の実態調査は,海外数カ国の教科書および国内のいくつかの調査報告書並びに学会報告等により実施した。一方,小学校と中学校の連携を意識した実践研究も行った。これらの研究に関して,2010,2011年度の2年で,計14件の学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の各学年・単元における物質学習を「粒子概念」でつなぐような、すなわち、前の単元で習得した「粒子概念」の内容を後の単元で活用するという系統的な授業実践を行う。これにより、単元の学習内容につながりがあることに気付くとともに、「なぜそうなるのか」をより深く理解することが期待できる。また、理科学習の4つの柱で、異なる柱(たとえば、粒子とエネルギー)」間をつなぐ授業実践も予定している。一方、粒子概念が小中学校の柱に位置付けられても、なお小中学生に「粒子概念」をイメージさせ、理解させるのは難しいとも指摘されていることから、小中学校を通した適切な系統的粒子概念教育の在り方や教材についてもさらに検討する。
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Research Products
(9 results)