Research Abstract |
本研究は,理科における科学的な表現能力の育成を図る観点から,子どもの科学的な記述を自己組織化マップによって評価するシステムの開発を行うことを目的とした。平成22年度は,これまでに開発したExcelを用いた自己組織化マップ作成ソフトをもとに,記述内容を分類し正誤を色分けするとともに,それらを数値データ化するソフトの開発を行った。次に,この数値化されたデータをもとに,VB.netを用いて自由記述を評価するシステムの開発を行った。この評価システムは,小学生用と中学生用の2つに分けて作成し,それぞれTIMSSの記述問題12問を選択できるようにした。そして,各問題に対して,コンピュータ上で自由に回答を行うと,自分の回答が自己組織化マップに位置づけられ,その位置づけられた色や近隣の色から正誤について評価ができるようにした。また,自分の回答に近い回答が近隣に配置されて,近隣の色をクリックするとその位置の回答例が示されるようにした。このことにより,自分の回答が誤答と判定されても,自分の近くの正答を参照することにより,どう修正すればよいかがわかるとともに,自分が正答でも自分の近くの誤答を参照することにより,正しい答えについての考えを深めることができる。本システムについて,中学2年生6人を対象に実際に操作してもらい,システムについての感想を求めた。その結果,使いやすい,わかりやすい,興味がもてたといった肯定的な感想が得られた。一方,問題の字体などをわかりやすくすること,部分点として何点くらいになるかの表示や,答えについての解説などの表示の希望があり,システムの改善についての知見が得られた。
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