Research Abstract |
本年度は,物・化・生・地の各領域の主担当者が,各々指導・助言にあたり,研修プログラムの策定,試行的実践および改善を行った。 物理領域では,高等学校において「探究活動の方法と面白さ」「高速度カメラを用いた探究活動の方法」「手回し発電機とニクロム線カッターを用いた探究活動」「音速測定に関する探究活動の方法」について実演指導を行った。また,「静電気」「手回し発電機とニクロム線」を題材とした実験指導を行ったほか,「宇宙からの放射線を実感する教材」の紹介も行った。 化学分野では,高等学校1年生2学期を,探究活動をコアとした授業構成にする試みを行った。2学期開始前に現場教員と11月の探究学習の企画打ち合わせを行った。この企画は,生徒が既習事項に基づいて探究活動を行うものであり,したがってそれまでの授業は,探究活動を目指した化学的知識や実験技能の習得を基盤とした授業構成とした。探究活動の課題は,その成果を次の単元で活用できるよう工夫した。授業実践を行う現場教員への新たな支援策として,他校の教員との情報交換の仕組みについても試行した。 生物領域では,「生物の多様性と共通性」および「生物の相互作用」を題材として取り上げ,教材研究ならびに実践指導を行った。また,既存の実験手法を批判的に捉える題材として「光合成」「植物ホルモン」を取り上げ,試行的な教材研究を行ったほか,新学習指導要領に対応した,生物の多様性と共通性に関する最新の情報収集にも努めた。 地学分野では,小学校において「流れる水のはたらき」の単元に関する教材研究および実践指導を行った。特に教材については,地域に根ざした素材を探索することを主眼とし,学校近隣の河原の礫を取り上げた。また授業実践では,水槽を用いたモデル実験を取り入れるため,各種条件設定などの教材研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各領域の主担当者が,それぞれ独自の取り組みを行い,その成果を相互に共有することで,多様なプログラムについて認識を深めることが可能になっている。領域ごとに研究の進展の度合いは異なっているが,それは各研究分担者の志向や領域に固有な事情によるものであると考えられる。したがって総じて本研究の達成度は,おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の「研修プログラム」は現場教員に対する個別対応によるケースワークであり,普遍的なものではない。 したがって今後の推進方策としては,研修プログラムを改善しつつ,事例を蓄積していくことになる。当初,個々の研修プログラムは,素材情報と合わせてWEBページで広く公開する予定であったが,教材研究の題材や教材の活用法,授業実践の様々な情報源には,一次資料の特定が困難な場合もあり,著作権等を考慮すると,公開には検討の余地がある。そのため,情報の管理について責任ある対応が可能なグループ内での共有に限定する等,別な方法を検討している。
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