2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物教育内容のネットワーク型構造化による単元構想力と教材研究力の育成
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22500860
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 重義 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00230962)
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Keywords | 生物教育内容 / ネットワーク型構造化 / カリキュラム / 単元構想力 / 教材研究力 / 教員研修 / 探究 / 教科書 |
Research Abstract |
教員の単元構想と教材研究に関する実態調査については、生物の多様性と共通性に関連した学習内容のつながりをテーマにして小学3年から中学3年までの基本となる関連図を示し、内容間のつながりを図示したり、関連の鍵を説明させたりする調査を行った。データ数がまだ少ないので、次年度も同様の調査を行い、教員のもつ教材間のつながりに関する発想を明らかにする。海外の事例調査では、アメリカの高等学校生物教科書9種類の分析を深め、ネットワーク型構造化を授業レベルで具体化するためには、1.関連する内容や生物概念を教科書の適切な場所で提示する、2.各学習内容に関連した生物概念を階層的に提示したり、重要用語を用いたコンセプトマップの作成を学習として取り入れたりする、3.探究スキルを具体的に提示して学習活動の観点から学習内容を整理する、等の方策があることを明らかにした。また、教科書に記載されている観察・実験等の活動を詳しく分析した結果、学習活動における位置づけ等の違いによって観察・実験の種類が細分化される一方で、観察・実験を通した学習に含まれる探究スキルの具体化によって観察・実験間の関連づけが行えることがわかった。特にHolt McDougal Biologyにおけるデータ分析演習の活動には具体的なスコープとシークエンスがあり、生物教育カリキュラムの内容を具体化する構造化の一つの方策が示されていた。アメリカの中学校理科における生物教育カリキュラムの具体化については、高校生物教科書と同様の方法で分析を開始したが、まだ具体的な結果を得る段階に至っていない。日本の生物教育内容のネットワーク型モデルの作成については現行の学習指導要領レベルでの内容の関連図を作成し、ホームページで公開した。ネットワークのリンクの種類を具体化したモデルの提唱、そのモデルの理科学習における活用、および教員養成・教員研修での利用の検討が今後の課題になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成23年度中にアメリカの中学校理科教科書における生物教育カリキュラムの具体化に関する分析が終了する予定であったが、高校生物教科書の分析がやや発展してしまったため、中学校についてはデータ収集と整理の段階にしか至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカの中学校理科と高校生物教科書の分析から、ネットワーク型構造化の指針とその具体化の方策を明らかにし、日本の中等教育段階におけるネットワーク型構造化モデルを作成する。次に、教員や教員養成段階の学生の生物教育内容のネットワーク化に関する実態調査の結果と照らし合わせて、教員研修や教員養成でネットワーク型構造化を有効に活用する方法を提示する。そして、附属学校の教員の協力を得て、カリキュラムを授業に結び付けることを意図した授業構想や教材研究を取り入れた実践研究を行う。
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