2010 Fiscal Year Annual Research Report
技術者倫理教育における学生の態度変容の研究-記述テキストの内容分析を通して-
Project/Area Number |
22500862
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
田柳 恵美子 公立はこだて未来大学, 共同研究センター, 教授 (30522114)
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Keywords | 技術者倫理 / 技術倫理 / 倫理教育 / 態度形成 / 態度変容 / 役割意識 / 社会的認知 / 質的データ分析 |
Research Abstract |
本研究は、理工系大学生向けの技術者倫理教育を、社会的認知能力の形成という側面を重視した学士にふさわしい人格形成教育として再構築することを目指したものである。情報系の学部4年生必修講義の実践を通じたアクションリサーチとして、1.学生が技術者倫理に対してどのような態度を有し、その態度は講義を通じてどのように形成され変容するかを学生が記述したテキストから分析し、2.得られた発見事項から、学生の技術者倫理に対する態度や役割意識といった社会心理的性向について、概念化・理論化を図るとともに、3.学士課程にふさわしい技術者倫理教育の1つの実践モデルを提示することを目指している。平成22年度は、本課題研究の初年度として、平成21年度の講義でのパイロットスタディで得られた知見をベースに、引き続き受講生240名への講義を通して毎回のミニエッセイと期末レポートを記述データとして収集し、質的データ分析に取り組んだ。本年度は、海外で開発された本格的な質的データ分析用ソフトを導入して、収集した膨大な記述テキストから重要な概念を探索し、意味ある記述セグメントを抽出するコーディング作業に着手した。二者択一のディベート形式によるミニエッセイで、対極的な立場を取った意見の中から、「Yes,but」型の論理構築を行って独自の立場を表明している例や、論理だけではなく情動的な記述で説得力を持たせている例など、主体的な意味形成において巧みな方策を取っている記述例をサンプリングして分析するなど、データ探索作業に取り組んだ。発散的な探索を重視し、研究成果へ収束させる作業は、平成23年度に持ち越しとした。23年度は引き続きコーディング作業を推進・深化させるなかから、まとまりのある発見事項を抽出し、論文として成果発表することを目指している。
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