2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500880
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 京子 信州大学, 教育学部, 教授 (60283222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 一典 信州大学, 工学部, 教授 (30043045)
東原 義訓 信州大学, 教育学部, 教授 (90143172)
谷塚 光典 信州大学, 教育学部, 准教授 (30323231)
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Keywords | 発声トレーニング法 / 音声情報 / 可視化 / 声楽 / 音楽教育 / 声楽教育 / 演奏 |
Research Abstract |
本研究は、これまで熟達したプロのヴォイストレーナーによる個別訓練によってのみ習得できるとされてきた正しい発声法を、科学的な声のデータに基づいたシステムを構築し、声を可視化することにより、熟達した耳に頼ることなく習得できる個別訓練方法を開発している。 1.このために、初年度に取得・分析した歌声に対して、ピッチ、FFTスペクトル、LPCスペクトルの観点から、声の出し方の違いによる音響特徴量を解析し、その違いを明らかにした。その結果、良い声、浅い声、のど詰め声といった声楽発声指導で用いられる声の出し方では、FFTスペクトルにおける違いが、最も大きいことが判明した。この音響特徴量は視覚的にその違いを示し易いため、本システムの開発の基礎となる。 2.音高や言葉などの実験内容を様々に変化させ、声の出し方の違いが音響特徴量に及ぼす影響について詳しく調べた。その結果、これまで実験対象とした母音は、a(ア)母音のみであったが、歌唱技量がより必要とされる他の4母音(i・u・e・o)についてさらに比較・検討をする必要があることがわかった。 3.音色に関する情報として、FFTスペクトルによる倍音構造、LPCケプストラム曲線によるSinger's formantに着目し、声楽家(男声)と音楽科学生を対象として、他の4母音([i][u][e][o])についてデータを取得した。その解析結果、音楽科学生では、母音ごと比較すると、歌唱として歌いやすい母音[a]や[o]ではSinger's formantが見られたが、響きを失いやすい他の母音で、Singer's formantが見られなかった。一方、声楽家(男声)では、5つの母音全てでSinger's formantが検出された。経験の長い歌唱者では母音に関係なく、Singer's formantが検出された。この知見を本システムの開発に利用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本システムの開発に必要とされる歌声の音響特徴量について、ピッチ、FFTスペクトル、LPCスペクトルの観点から、十分な知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析は、声楽家(男声)と音楽科学生についてであり、それに基づいた知見が得られた。しかし取得したプロの声楽家の音声が一人であるため、他の声楽家(女声)についてもデータを取得し、その解析により、同様の傾向が得られるかについて検討し、本年度までに得られた知見をより確実なものとしなければならないと考えている。
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Research Products
(1 results)