Research Abstract |
平成20年度,21年度の調査データから得られた「大学生活を支える3因子」を元に,平成22年度入学者から3因子の構成と,基礎学力調査として,高校履修範囲の数学・日本語・外国語(英語)学習能力調査を実施し,個票をデザイニングした。平成23年度からは,実施大学で個々の学生に配付し,学習支援に活用している。特に,理系学生にとって就職までのコースデザインとしてどのような学習の組み合わせが適切かを検討するにあたっては,電子ポートフォリオを活用し,履修経歴との関連をコースデザイニングに組み込むことも可能となっている。 コースデザインの実施については,電子ポートフォリオを活用し,研究分担者が所属する大学で既にあるカリキュラムを,個人内特性の類型化グループに応じて,ICT活用をしてリメディアル教育科目,初年次教育科目,教養教育科目,融合科目,専門教育,体験型教育科目(新規に追加するものも含む)を整理し,学士課程の中で可能な範囲で,組み合わせ,どんな時期に,どんな内容の教育的施策を行うかを学習者自らがデザイニングすることを援助している。 類型化グループによる教育実践を実施し,卒業までの経年変化をインタビュー調査による質的研究をすることによって妥当性を測るために,学習者の同意を得て,さまざまな試みを実施した。特に,平成23年度には個人内特性のバランスから大学教育課程での学習動機を高めるために,体験合宿、社会生活訓練SST(Social Skill Training)、自炊支援講習,対人スキル訓練,手作業による模型づくりなどの新たな視点からのカリキュラムを夏季休業期間などの利用で実施することを企図した。特に,長期休暇における学習活動として,Nonnative English Speakersによる英会話学習の機会を集中講座で実施し,その後,TOEIC対策講座を実施した。専門教育課程で直接必要ではない英語学習の新たな場を提供することで,学生の学習動機が高まることを確認的調査をし,専門教育課程にどのような影響を与えるかを見ることを今後視野入れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に則り,構造化インタビューの実施を経て,学習に関わる調査を平成22年度,平成23年度と6大学で実施した。平成24年度入学者にも実施するだけではなく,経年変化を見るために平成23年度に実施した学生にも再度実施する。 これらの調査から得られた理系学生が修学成就するために必要な因子を特定し,その因子に着目して24年度以降は学習に役立てる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で調査を始めてから3年を経過した学生情報が蓄積された。電子ポートフォリオなどを活用し,大学での学習の様子,学習者特性(学習動機・学習観・精神的回復力)などの調査の経年変化を見ることを可能にする。今後は,卒業し,就職するまでの中でどのように変化し,成長していくかを追跡調査する予定である。最終的には,就職後3年を経てもなお退職せず働いている卒業生などへの構造化インタビューを実施し,大学時代に何を身につけ,何が要因でどのように変化したかを探り,変化を生み出す教育的環境を形成することを目的としている。
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