2011 Fiscal Year Annual Research Report
メディア活用による授業実践力を形成する臨床型「校内授業研究方法」の開発
Project/Area Number |
22500907
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
浦野 弘 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50185089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 昌敏 上越教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90143627)
|
Keywords | 教育工学 / 教師教育 / 校内研修 / 実践知の伝承 / 現職教育 |
Research Abstract |
本研究は,「子どもの学力向上のキーは,教材そのものにあるのではなく,その教材を通していかに子どもに思考をさせるかにある」との認識にもとづく。教師の子どもへの働きかけが学力向上への基礎基本であり,多様な働きかけの可能性を有する「教育メディア」を活用した授業を実践できる教師集団の形成が,重要な課題である。この課題に応えるために, 1)ベテラン及び中堅の教師が授業,とりわけ,他者の授業における教育技術をどのようにとらえているかという視点 2)子どもとの関わりを通して捉えた教育メディアの活用の方策 3)「校内授業研究会の活性化と授業実践力の向上を目指した教師の知の伝承」の方策 について提案し,授業改善に資することを目的としている。 本年度は,具体的には,(1)学校現場での強い要望のある電子黒板や地デジ対応テレビの活用に焦点化,(2)秋田及び東京の特定の校内研修会に継続的に参画,(3)ベテラン教員の授業の省察(4)校内の小集団に焦点化したミニ校内研修会の構築等について,実践的な試みを行った。 その結果,(1)については,導入段階における教師の動機付けには提示型の地デジ対応テレビの活用方策の提示が教師の利用を促すことに効果的であることが改めて確認できた。また,(2)については,個々の教員の発達の最近接領域の課題(ちょっとした配慮により改善可能な課題)の自己による発見と他者から指摘が,効果的であることが確認された。その成果の一部は,南部・浦野他(2011)で報告した。(3)及び(4)については,学級担任が40~50代で,改めて自己の授業スタイルを変えていくような試みには消極的である教師集団の中では,協議題を焦点化し,学年や教科という型にはまらない小集団(4人程度の教員のみ)で授業検討会を行うことが,効果的であるとの知見を得た。その一部は,浦野・小松(2012,印刷中)で報告する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師集団の年齢構成が非常に異なり,ベテランに比べ若手が多い学校と,若手がほとんどいないという学校における「校内授業研究会の活性化」と「授業実践力の向上を目指した教師の知の伝承」に対応すべき方策事例として,南部・浦野ら(2011)と浦野・小松(2012,印刷中)においてそれぞれに適した校内研修のあり方を提案できた。その意味でおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,課題の内,2)については,喫緊の課題として電子黒板や地デジ対応テレビの活用であるとして進めた。しかし,これらのメディアの設置状況はいまだ不十分であることから,最終年度である次年度は,課題の3)に焦点化し「校内授業研究会の活性化」と共に,「授業実践力の向上を目指した教師の知の伝承」について,実践をふまえたその方策について研究を推進する。
|