2012 Fiscal Year Annual Research Report
科学者の社会的責任の現代的課題~科学コミュニケーションの接点の課題から
Project/Area Number |
22500959
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤垣 裕子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50222261)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
|
Keywords | 科学者の社会的責任 / 不確実性 / リスク / コミュニケーション |
Research Abstract |
平成22年度は、「責任」をめぐる定義の分析をおこない、科学技術倫理事典(C.Mitcham編、トムソン社、2005)をもとに、責任概念を、法的責任、宗教における責任、哲学における責任、科学の責任、技術の責任に分けて論じ、さらにアングロアメリカンにおける責任概念と、ドイツにおける責任概念の違いを検討した。 また平成23年度は、1)現場の科学者の「責任」をめぐる定義の分析、2)事例分析の2つを行った。1)現場の科学者にとって現在「科学的責任」がどのように捉えられているのかを分析するために、ユネスコのICSU(International Council for Science:国際科学カウンシル)における「科学研究遂行における自由と責任に関する委員会」のレポートを分析し、実際にICSUに参加して、その議論の展開を観察した。2)日本事例の分析日本事例分析のなかで「システムとしての責任」の考察を先にすすめなくてはならないものを選んで、検討をすすめた。とくに、東日本大震災発生後、放射能の測定や健康影響評価をめぐる科学コミュニケーションと専門家の責任をめぐる問題、および「想定外」の事故をめぐる責任の問題、「想定」の功罪と専門家の責任、など、今、まさに生起している課題における科学者の社会的責任についての分析をすすめた。 平成24年度はこれらの成果をふまえ、東日本大震災後の混乱期の情報公開をめぐる科学者の社会的責任についてまとめた。たとえば、「心配させないように情報を出すのが科学者の責任か。」「行動指針となる1つの統一見解を出すのが責任か、それとも幅のある助言をして、あとは市民に選択してもらうのが責任だろうか。」という問いである。これらについて分析したのちに、不確実性下の科学者の助言はどうあるべきか、不確実性下のリスクコミュニケーションはどうあるべきかについて検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)