2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツと日本の医学交流 産科医・女医の誕生・伝染病予防をめぐって
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22500964
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石原 あえか 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80317289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 千晶 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (60220571)
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Keywords | カールス / 解剖図 / 高橋瑞子 / 宇良田唯 / 『フランケンシュタイン』 / M.シェリー / ローダー / ゲーテ |
Research Abstract |
研究代表者・石原は、2011年夏にベルリンおよびマールブルクでの研究調査およびアーカイブでの資料収集を行った。ここで集めた資料を補充し、前年度にベルリンで行った明治期にドイツで学んだ日本人女医の高橋瑞子と宇良田唯に関する講演をドイツ語論文にまとめ、紀要論文として公表した。 また本年度は、ゲーテと関わりの深いヴァイマル自由絵画学校およびイェーナ大学附属産院についても調査をすすめ、研究分担・横山および連携研究者・眞岩啓子(日大非常勤)とともに、当時の産科学と絵画の密接な関係について論じた一般向けの小型書籍を執筆・編集した。本書は査読を経て、慶應義塾大学教養研究センター選書11として慶應義塾大学出版会より刊行された。 この関連で眞岩も2011年夏にドレスデンおよびベルリンでカールスを中心とした資料収集を行った。特に従来の画家としてだけでなく、産科医としての彼の活動について、成果の一部を選書第二章で発表している。 横山は、イギリス・スコットランドの産科医と解剖図版についての資料収集を行ったが、カールスの英訳された旅行記を、ドイツ語原典と比較検討することにより、イギリス国内の医療施設見学とその意義をより正確に把握することができた。また石原との英独語資料の相互分析により、当時導入された分娩時の鎮痛にクロロホルム麻酔について、イギリス・ドイツ問の迅速な情報交換があったこと、またその普及にヴィクトリア女王夫妻が重要な役割を果たしたことを確認できた。横山が担当した選書第三章では、これらの成果に加え、解剖図という観点からメアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』解釈を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブタイトルにあるキーワード3つのうち、産科および女医については順調に調査が進んでおり、また成果も公表できた。3つ目の伝染病予防については、今年度まだ成果を発表するに至っていないが、最終年度でこちらも形にしたいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2012年度は、研究者各自が本課題の成果をまとめ、個々に学術論文や著作の形で公表を予定している。共同執筆は予定していないが、これまで通り、定期的に打ち合わせをもち、相互の情報交換を行いながら、研究の進展・遂行を図る。
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Research Products
(3 results)