2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツと日本の医学交流 産科医・女医の誕生・伝染病予防をめぐって
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22500964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 あえか 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80317289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 千晶 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (60220571)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 医学標本 / エレファントマン / ゲーテ / オーケン / カールス / 近代皮膚科 / 日独医学交流 / 近代産婦人科 |
Research Abstract |
最終年度は連携研究者・眞岩を含めた3名全員での著作は計画せず、個々にこれまでの成果をまとめる、緩やかな共同研究という形で研究をすすめた。 研究代表者・石原は、専門研究対象であるドイツ詩人ゲーテと交流のあったフーフェラントを起点に、19世紀以降の近代日独交流についてまとめた単著を6月に上梓、本課題にあげた女医・産婦人科・種痘の伝搬を含む伝染病予防に関する研究成果を発表した。さらに本書で扱いきれなかった近代皮膚科における日独医学交流については、別途2本の論文にまとめたが、そこではゲーテが早くから有用性を説いたムラージュ(蝋製標本)が約1世紀後の20世紀前半になって皮膚科・性病科を中心に普及したこと、またその導入にはウィーンに留学した医師・土肥慶蔵が深く関わっていることなどを確認した。 この近代皮膚科の成立と教材という視点から、石原が北里記念室調査時に知り合った細菌学者・檀原宏文氏にも加わっていただき、そこに研究分担者・横山も加えた計3名で、年度末コロキウム(於:東京大学・駒場キャンパス)の形で発表とディスカッションを行った。石原は日本のムラージュ技師、初代・伊藤有とその門下生について簡単に紹介した。横山は19世紀の実在人物ジョセフ・メリックを扱った「エレファントマン」(映画・演劇含む)を取り上げ、畸形の主人公の身体が時代毎に獲得した象徴性および物語性について考察した。 また眞岩は初年度から調査を進めていたゲーテ時代の産科医カールスの著作『動物解剖学教本』について紀要論文を発表した。カールスに影響を与えた人物としては、形態学の始祖でもあるゲーテと医師兼科学者オーケンの2名が挙げられる。本論では、両者の影響だけでなく、カールスの独自性を考察した。また科学をめぐる社会的変化の予兆、すなわち18世紀的伝統を継ぐゲーテと開かれた学問を目指すオーケンの関係にも言及した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)