2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500970
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | サイボーグ医療 / 人工呼吸器 / 生命倫理 / 科学技術史 / 意思伝達装置 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き人工呼吸器・意思伝達の研究開発史に関する資料の収集と調査と並行して、サイボーグ医療の倫理的考察の基盤を形成する以下の研究を行った。 優生学の再検討:生存や意思疎通に困難をもつ重度身体障害者や難病者は、治療や支援の対象として医療技術、医薬品、ロボティクスやICTの開発の契機となる。しかし同時に、高額な医療費を要し機械に依存する存在ともみなされ、科学技術に支えられた生存やコミュニケーションの意義自体が否定される危険にも常に晒されている。重い障害と共に生きる人々は、科学技術の使用が尊厳ある生の必要条件とみなされたとき、生身の身体は価値のない剥き出しの生となる。科学技術と身体と尊厳の関係について、優生学の再検討を通して整理を試みた。本年度は優生学研究の典型的なアプローチである遺伝学、遺伝子技術、遺伝子検査を媒介に、優生学の否定的・肯定的評価と歴史的社会的背景の関係、また現代の出生前診断の報道や反響を糸口に、再考されるべき優生学の論点を論じた。優生学の是非に関わる議論の枠組みの分節化、また異なる枠組みがどのような歴史的状況に依存しているのかについて、1970年代から2000年代の米国の状況を中心に生命倫理学との関係で明らかにした。 「生命科学と当事者」:現代の生命科学研究における日本の市民団体や患者団体の役割の解明は、今後の生命科学の方向性に大きな影響を与える。日本ではまだ、本格的な研究が開始されていない。受精卵診断における市民団体と産婦人科医、また再生医療研究における患者会の役割に関する研究会を企画し、生命科学、社会学等の専門家と患者会関係者をまじえて、今後の研究課題を議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|