2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期標準年輪曲線の広域ネットワーク拡充とそれに基づく木材産地推定法の検討
Project/Area Number |
22500974
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 裕之 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (30466304)
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Keywords | 年輪年代学 / 標準年輪曲線 / 産地推定 / ヒノキ / スギ / アスナロ / ツガ |
Research Abstract |
今年度は、研究の2年目として、地理的、時代的に標準年輪曲線が不足している部分のデータ収集と解析を重点的に行った。 現生標準年輪曲線の広域ネットワーク化については、研究分担者と協力し、九州大学宮崎演習林を中心にツガ現生材年輪試料(コアおよび円盤)を30点以上収集した。また、連携研究者、研究協力者との協力により、奈良県吉野のスギ、ヒノキ現生材および兵庫県加西のスギ現生材を多数収集し、年輪幅計測と解析を行った。現在までの試料収集により、一部に未計測の試料はあるものの、当初計画した試料の空白地を埋めるという目的は、ほぼ達成する見通しがたった。 一方、標準年輪曲線の延長については、主として試料の不足している江戸時代を対象に、試料収集と計測を実施した。具体的には、・瑞巌寺本堂(江戸時代、ヒノキ・アスナロ材、宮城県)、護国寺月光殿(江戸時代、ヒノキ材、東京都)、十三盛遺跡(平安時代、アスナロ材、青森県)である。護国寺月光殿、十三盛遺跡では計測を完了、瑞巌寺でも、天井板、建具、床板など150点の部材のうち約2/3の計測を完了し、順次、データの解析を進めている。現在までの顕著な成果としては、東北北部において7世紀から16世紀までをカバーする1000年近いアスナロの標準年輪曲線構筆に成功しており、この成果を日本文化財科学会で報告する予定である。また、この標準曲線と現生材の標準曲線とのギャップを埋めるため、江戸時代後期の試料の探索を行った結果、来年度、この時代の弘前藩関係の出土材調査を行うことができる見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のうち、現生標準年輪曲線の広域ネットワーク化については、ほぼ予定の試料収集を達成し、今後解析を進める状態になっている。一方、標準曲線の延長については、未だに江戸時代後期のギャップが埋められていないが、来年度、この時代の遺跡試料を調査できる見通しが立ったため、総合的に見て(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現生標準年輪曲線の広域ネットワーク化については、一部未計測試料の年輪幅計測を早急に進め、その後、当初の予定通り、各標準年輪曲線の地域区分を検討する予定である。一方、標準年輪曲線延長では、来年度調査予定の江戸時代後期の遺跡調査を5月中に着手し、最優先でデータ解析を進めることで、古文化財試料と現生材試料とのギャップを埋め、当初計画通り、長期標準年輪曲線構築を達成する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 近赤外分光法による湖堆積物の非破壊・簡便評価2011
Author(s)
稲垣哲也, 篠塚良嗣, 山田和芳, 林田明, 米延仁志, 土川覚, Timo Saarinen, 吉田明弘, 五反田克也, 星野安治, 大山幹成, 小田寛貴, 安田喜憲
Organizer
日本地球惑星連合大会2011年大会
Place of Presentation
幕張メッセ(千葉県千葉市)
Year and Date
2011-05-25
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