2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度放射性炭素年代測定に向けて化石骨試料の精緻調整法の開発
Project/Area Number |
22500975
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
近藤 恵 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 助教 (40302997)
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Keywords | 人類学 / 考古学 / 層位・古生物 / 年代測定 |
Research Abstract |
2年目にあたる平成23年度は、初年度に引き続き、本研究で使用する化石骨試料を収集するため、東京大学研究総合博物館および沖縄県立博物館の協力を得て、試料採取を行うとともに、それらの限外濾過実験、アミノ酸分析、放射性炭素年代測定を行うための前処理実験を順次進めた。初年度に、関連する専門分野の研究者を交えて議論し、再検討を行った結果、研究内容が一部方針転換され、アミノ酸分取を行うことはせず、限外濾過をさまざまなパターンで試行し、それによる篩い分けを詳細に確認することにより、高精度な年代測定の鍵となる前処理試料の調製法を吟味することとし、平成23年度はそれにしたがって作業を進めた。特に平成23年度は、これらのより充実した基礎データを取るための準備に重点を置いた。本研究の意義として、より精度の高い年代測定を行うことが第一に掲げられているが、併せてもうひとつ、前処理段階で十分な試料量を回収できないような困難な試料について、精製度を下げることなく回収率を上げることが大きな目的となっている。特に、人類学的に重要性の高い骨試料は希少性が高く、他の実験に適した条件を有する関連の骨試料に取って代えた場合、データの価値が格段に変わってしまうため、困難な条件下で実験を行わなければならない場合が少なくない。このような困難な試料を扱う場合の適切な方法を常に追求しているが、先頃、他分野の研究成果により、より少量の試料で放射性年代測定が可能になったとの報告があった。これが近い将来、具体的な応用試料の測定も実施可能になった場合、現在、本研究でも進めている少量試料の精製・回収により処理された試料が、初めて測定可能になるかもしれないとの期待が高まりつつある。従来は測定の対象外と考えられていた試料についても改めて取り入れるよう再検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階で予定していた骨試料の入手とアミノ酸分析および年代測定のための前処理は、進んでいる。また、アミノ酸分析のための機器関連はすべて揃い、予備実験を開始している。重要な前処理の困難な試料については、予想外に多大な時間が費やされているため、処理点数がなかなか伸びないが、予定した内容はほぼ進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度の結果から、すでに一部、方針転換をし、骨試料のアミノ酸分取は行わず、限外濾過処理を施した試料について、アミノ酸分析による詳細な試料の吟味を行うこととしている。この方針に従って、昨年度は作業を進めた。現在までに進めている、分析にかかる一連の作業は、これからも引き続き行い、データを充実させる必要がある。第一には、基礎データを再度きちんと出すことが肝要であり、当初の目的どおり、そこに力点を置く。さらに、それに基づいて未知試料の本データも優先順に取っていく予定である。
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