2012 Fiscal Year Annual Research Report
地域のハザード特性を踏まえた情報の構築・発信による防災力強化支援策の検討
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22500985
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 紀代美 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70345643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 賢人 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (30345649)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 減災 / 自然災害 / 津波 / 防災 / 地理学 |
Research Abstract |
23年度は育児休業に伴い科研費の保留手続きをしていた。その間に東日本大震災が発生し、研究を取り巻く環境も大きく変化したが、被災地で多くの人々が訓練・学習の成果を発揮し、防災情報・施設も一定程度機能したことを鑑みると震災前に掲げた研究課題・意義・調査内容は有意義であったと確信できた。なお2011年度関連実績として、「津波に備える人びとと地域 震災前の南三陸町の取り組みから学ぶこと」(林紀代美・青木賢人,地理671,96-101)を挙げておく。今年度は、経験を継承し、醸成された意識を持続し形にして地域内に面的に広げていくための工夫や要点を考察するよう留意した。先進地域(高知県(四万十町興津地区など)と東北地方(田野畑村、南三陸町など)、石川県内(能登町小木地区)など)での従前からの活動と震災後の防災・減災の充実について、考察を継続した。後述のように本年度は、研究課題にも関係して自治体や学校、自主防災組織等からの防災活動・教育への支援要請や知見提供の依頼が多かったため、成果の論文化よりも実社会からの要請に迅速に応えることを優先させた。比較的災害経験が少ない石川県でも防災計画等が見直され、新想定に基づいた津波防災活動の周知、推進が求められ、研究班として各地の防災訓練や学習会への協力や県・市町等の防災に関わる委員就任などを通じて、科研研究で得た知見を活かしながら助言などにもあたった。研究後半では、これまでの調査での関係構築を生かし、東日本大震災以後の石川県での防災意識、活動状況や地域防災力の向上や減災の定着に向けての課題を洗い出すアンケートを実施した。当初予定より協力地区が増加し、各地域の都合等もあって、予定よりも実施が遅い時期になり支出額も大きくなっている。現在、アンケートの集計途中であり、近日その結果を講演会や学会誌等を通して報告できるよう、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記したように、考察への協力先との実施時期の調整の関係もあって、アンケートの実施時期と規模に変動があったため集計作業が年度をまたぐこととなった。先進地域の考察結果の論文化等も次年度に送りとなっている。しかし、委員会、防災訓練、講演会などを通じた実社会へのニーズに即した成果還元を前倒し、優先させて行っており、アンケートの集計も現在進行中である。その点を鑑みると、おおむね順調に研究活動は進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のアンケートの集計作業とその分析を、本年度前半のうちに処理する。また、先進地域の東日本大震災発生以降の取り組みの改善状況や石川県内の自主防災組織、学校などの防災活動・教育の改善状況について、本年度も現地調査を継続し、研究課題の追求、社会からのニーズに応える示唆の収集に努める。アンケートからは、漫然と地震や津波のことを心配しているが日頃からの備えや地域災害情報の確認を主体的に行っていない地域住民が多く見られる。これまでの研究、地域での防災活動への参加などを通じて、一般住民が防災活動に取り組むにあたって意識醸成はできたがそれを具現化するための使いやすくわかりやすい資料の調達や、地域環境や災害の危険性を把握するための地域観察のポイント・地図情報の読み取り等の技能について困難である、支援を得たいと感じていると分かった。また先進地域の取り組みから、防災を通じて地域を見つめることで、地域活動の活性にもつながることや多様な知恵や技能を活用できること、細く長く主体性を持った防災活動・意識を保つことができることが確認できた。最終年度であるため、ここまでの知見を基に、地域の防災活動・教育を支援するミクロスケールの地域での活動、(子ども・高齢者も含む)一般の住民の活動に対応した使いやすくわかりやすい資料・地図情報の作成と、防災施設等の情報発信について地域の関係者・団体などと検討しなから構築し、実践の中でそのブラッシュアップを図っていくこととしたい。具体的な学習材と、地域観察活動の工夫などを示し、地域の防災活動のなかでその使い勝手、活用状況なども確かめながら、より良いスタイルを見出す活動が中心的課題・活動となる。並行して、得られた知見、考察結果については、順次、学界発表や論文化、記事作成などで公表していくこととし、そのための作業も進めていくこととする。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 水害と大地の遺産2013
Author(s)
青木賢人・林紀代美(青木賢人)
Organizer
2013年日本地理学会春季学術大会
Place of Presentation
立正大学(埼玉県)
Year and Date
20130329-20130330