2011 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ西岸地域における山地草原の変動史とその要因の解明
Project/Area Number |
22500989
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 教授 (90260786)
|
Keywords | 環境変動 / 山地草原 / 林野火災 / 地すべり |
Research Abstract |
ブルーリバー流域を中心とする地域について、オルソ空中写真(1m)とLiDARから作成された植生高データ(1m)を用いて、非森林性の植分(草原と低木林)を判読し分布図を作成した。草原は湿性草原と乾性草原に分類された。低木林は被度と色調から2種に分類されたが、いずれも落葉広葉樹が優占する。またLiDARから得た標高データによって作成した等高線図と陰影図の判読、および現地調査の結果から、地形分類図を作成した。調査地域の上流部には氷食谷があり、最上流部にある北向きのカール壁やカール底にはAlnus crispa ssp. sinuataやAcer circinatumからなる低木林が成立していた。また調査地域のほぼ全域で地すべり地形が卓越し、それらのうち新しい地すべり地を中心にして、小面積の低木林や湿性草原が散在していた。また、地すべり地形の存在しない、主稜線付近の平滑な斜面のうち、特に南向きの斜面には湿性および乾性草原が成立していた。低木林の成立には、地すべり等に伴う未発達な土壌と、雪が遅くまで残ることが関わっていると考えられる。一方、草原は立地の違いにより優占種は異なるものの、稜線部においては、いずれも火災の発生頻度が高い場所に多く成立すると考えられる。これらの草原の広がりの変動は、火災発生頻度の変化の影響を受ける。一方、地すべり地に成立する草原は、その成立や維持に対して、火災の影響が小さいと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては、おおむね順調といえるが、過去の植生分布の図化と解析については、万全とはいえない。より空間精度の高い図化ができないか、新たな資料収集も含めて、取り組んでいく必要がある。一方、当初想定していなかった1m精度の標高データと植生高データが入手できたため、地形条件も含めて幅広い分析を行うことが可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度までに調査を実施できなかった地域について現地調査を行い、草原・低木の分布と変動に関する分析に必要な情報を整える。昨年度までに入手できた1m精度の標高データと植生高データは、植生分布構造に地形条件(地形による資源分布や撹乱体制の不均質性)が少なからず関わっていることを示唆するものであったので、地形条件にも重点を置きながら植生変動の特徴を分析していく。また、資料の制約上、過去の植生復元の空間精度が十分に得られない場合には、現在の分布構造の解析により重点を置く形で植生変動の特徴を解明していく。
|
Research Products
(5 results)