2010 Fiscal Year Annual Research Report
裾礁型サンゴ礁海浜における汀線砕波特性に関する野外研究
Project/Area Number |
22500990
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
青木 久 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (30423742)
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Keywords | 海岸地形 / サンゴ礁 / 砕波波高 / 遡上波到達高度 / 沖縄 |
Research Abstract |
本研究の目的は,裾礁型サンゴ礁が発達する沖縄島を調査対象地域として,サンゴ礁地形の水平幅(リーフ幅と呼ぶ)が異なる海浜上で汀線砕波波高と遡上波の最終到達高度がリーフ幅によってどのように変化するのかという点を野外計測データに基づいて明らかにし,モデル化することである.季節風が卓越する冬期は,沖縄島西海岸にとって,年間を通じて大きな沖波が入射してくる時期である.本年度は,季節風の卓越する冬期に,西海岸を対象として,野外調査を実施してデータの取得に努めた,1.入射する沖波の大きさが一定とみなせる地域の,リーフ幅の異なる読谷村内の4海浜において,砕波波高の計測を行った.その結果,リーフ幅が大きい海浜ほど砕波波高が小さくなる傾向をもっことがわかった.2.次に,国頭村から読谷村までの海浜の中から,リーフ幅が100m~1500mと大きく異なる9海浜を選定し,海浜植生(コウライシバ)が分布する海側端や浜崖地形を指標として,遡上波の到達高度を計測した.リーフ幅が大きい海浜ほど,遡上波到達高度が低くなる傾向がみられた.グラフの縦軸にこの高度を,横軸にリーフ幅をとってデータをプロットしてみると,リーフ幅が100mから500m程度まで増大するにつれて,遡上波到達高度の減少が大きいことがわかった.このように,リーフ幅が異なると,リーフ海浜における汀線砕波波高や遡上波到達高度に差異がみられることは,リーフに入射した沖波の波高減衰の程度が,リーフ幅に規定されることを示唆するものであると考えられる.汎用性のあるモデルの構築には,広範な条件下での波高減衰過程の理解が必須と考えられる.そのために室内実験を実施し,実験データを基に定式化し,野外データを用いてキャリブレーションを行うという方針で研究を遂行すべく,既に実験水路本体の作成と付属装置の購入を完了している.
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