2010 Fiscal Year Annual Research Report
花粉分析による高時間分解環境復元とその限界-長野県深見池年縞堆積物による性能評価
Project/Area Number |
22500992
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
北川 淳子 国際日本文化研究センター, 研究部, プロジェクト研究員 (90571703)
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Keywords | 環境史復元 / 花粉分析 / 高時間分解精度 / 年縞堆積物 / 歴史記録 |
Research Abstract |
本研究は,歴史記録の豊富に残っている江戸時代以降に形成された長野県下伊那郡にある深見池の年縞堆積物を利用し,年縞の年毎の動向を詳細に調べ,江戸時代から現在までの花粉分析を1年から10数年の極めて高い時間分解精度で分析して,環境史イベントや気候の復元を行う事を目的としている。 22年度には年縞堆積物の花粉分析を含む各種分析での精度を確認するためのモデル地の深見池で堆積物を採取した。9月に長野県下伊那郡阿南町の深見池で、マッケラスコアラーを使って4mの連続コアを12本、採取した。また、最上層部は表層サンプラーで5本採取し、凍結保存した。コアの最深部は深見池が形成された1662年に到達していると考えられる。コアは花粉分析、可視吸光度、含水率、比重、無機、CNS、同位体、近赤外分光分析などの分析用に分けた。現在、年代を決定するために年縞のクロスデーティングを行い、最上層部を除く上部の50年分の年代がわかっている。この部分の花粉分析はすでに行っており、そのデータと歴史記録、気象記録の比較を行っている。また、定量的気候復元も行った。今後、できるだけ早い時点で1662年までの年代を決定し、花粉分析を行う予定である。 花粉分析による定量的植生と気候復元のための基礎データの収集のため表層花粉のサンプルを採取も平行して行った。22年度はデータの少ない中部地方の44サンプルを採取し分析を始めている。また、これまで採取し、分析した44サンプルのデータを気候復元のための書式にして、これまで公開されていた日本の表層サンプルデータに追加し公表した。さらに、これまでに採取した冷温帯を中心とした表層花粉のサンプル、約80サンプルの分析も進行中である。
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Research Products
(2 results)