2011 Fiscal Year Annual Research Report
活褶曲地帯における地震に伴う斜面変動と地形発達過程に関する研究
Project/Area Number |
22500994
|
Research Institution | Geospatial Information Authority of Japan (Geography and Crustal Dynamics Research Center) |
Principal Investigator |
小荒井 衛 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 室長 (50419876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松原 琢 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (50357026)
黒木 貴一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
|
Keywords | 活褶曲 / 斜面変動 / 地形発達過程 / 中越地震 / 中越沖地震 |
Research Abstract |
芋川流域について、航空レーザ測量による1m間隔等高線図の読図から段丘区分を行った。段丘は上位から1面~8面の8段に分かれぐ5面はローム層を載せず、3面はローム層を載せテフラが検出されたが、既知のテフラとは対比されていない。1面から1万年前よりやや古い時期に降下したとみられるUGが検出されたのに対し、3面では7千年程度前に降下したK-Ahが検出され、UG以前のテフラは顕著にはみられないため、3面は7千年~1.2万年前に形成された面と推察される。一方、魚野川流域の段丘については、約15kaに噴出したAs-K(浅間-草津火山灰)を報告されているLf4面の同層準において、化学分析の結果からUGに対比可能な火山ガラスを検出した。魚野川流域の段丘の編年が従来よりも新しい年代に編年し直される可能性がある。3面の現河床との比高差は、下流の魚野川合流点付近と上流の小芋川合流点付近とで約10mある。小松倉背斜は小芋川合流点付近を通り、魚野川合流地点から750m程度離れているので、小芋川合流地点の現河床からの比高が大きいのは小松倉背斜の成長によると仮定すると、小松倉背斜の成長速度=((比高/水平距離)/段丘形成年代)=1.1~1.9×10^<-6>/年となる。西山丘陵の活摺曲の成長速度について8.3×10^<-7>/年(灰爪層の基底の高度差から算出)、小千谷地区の活摺曲の成長速度については1.0~1.2×10^<-7>/年(Aso-4を載せる小粟田原面)~1.1×10^<-6>/年(As-Kを載せる小千谷面)となるので、オーダー的には同程度である。2011年3月12日に発生した長野県・新潟県県境付近の地震では、地震による隆起域の松之山地区で斜面崩壊が集中しており、2004年新潟県中越地震や2007年新潟県中越沖地震とも共通する事象である。地震に伴う松之山背斜の成長域で斜面変動が卓越した可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テフラの分析により芋川流域の段丘編年が行えたこと、魚野川の段丘編年に対して見直す必要性を提示できたこと、西山丘陵、小千谷地区等と活褶曲の成長速度を比較できたことなど、新しい知見を得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年3月12日に発生した長野県・新潟県県境付近の地震でも、2004年新潟県中越地震や2007年新潟県中越沖地震とも共通する事象が見られたことから、松之山地区にある松之山背斜が地震に伴い成長して、そこで斜面変動が卓越した可能性もありうる。最終年度は、長野県・新潟県県境付近の地震も含めて検討していきたい。
|