2010 Fiscal Year Annual Research Report
SOX17の発現変化によるWnt活性制御が消化管腫瘍悪性化に及ぼす影響
Project/Area Number |
22500996
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 浩子 金沢大学, がん研究所, 助教 (80362515)
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Keywords | 胃がん / 大腸がん / SOX17 / 悪性化 / Wnt |
Research Abstract |
腸上皮細胞ではApc遺伝子変異によるWntシグナル亢進が、腫瘍発生の直接的原因となる。研究代表者らはこれまでに、消化管腫瘍の初期病変ではWnt標的因子であるSox17が誘導されていることを明らかにした。Sox17は発生段階で内胚葉の初期発生に重要な因子であり、また大腸がんではがん抑制遺伝子として知られている。本研究は、Wntにより誘導されるSox17の発現変化が腫瘍発生および悪性化にどのような機序により関与しているのか明らかにすることを目的として実施している。Sox17遺伝子をホモで欠損すると胎性致死のため、コンディショナルにSox17を欠損するSox17(f1/f1)マウスを導入し、腸上皮細胞で特異的にCre遺伝子を発現するvillin-Creマウスとの交配実験を行なった。これまでにvillin-Cre Sox17(f1/f1)マウスが数匹生まれたが、生まれる頻度はメンデルの法則を有意に下回っているため腸上皮でのSox17欠損が部分的な胎性致死の原因となっていると1考えられた。villin-Cre Sox17(f1/f1)マウスは体躯が小さいこと以外は正常であった。当該マウスの腸管上皮病理解析は来年度実施する。また、腸管腫瘍を自然発生するApc遺伝子ノックアウトマウス(Apc^<△716>)とSox17 cKOマウスの交配を進めて、これまでにApc^<△716>Sox17(f1/f1)マウスを得ており、さらにvillin-Cre Sox17(f1/f1)マウスとの交配により、Apc^<△716>villin-Cre Sox17(f1/f1)マウスが1匹生まれている。さらに、発生した腸管腫瘍におけるSox17欠損の影響を経時的に解析するために、新たにタモキシフェンでCre活性が誘導されるvillin-CreERマウスを導入し、現在Apc^<△716>マウスおよびSox17 cKOマウスとの交配を進めている。
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Research Products
(8 results)