2011 Fiscal Year Annual Research Report
発がん過程におけるDNA損傷・修復のゲノム内分布動態の解明
Project/Area Number |
22500997
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤塚 慎也 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40437223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊國 伸哉 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90252460)
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Keywords | 実験動物モデル / ゲノム損傷 / 酸化ストレス / 発がん |
Research Abstract |
DNA損傷はDNA変異の原因となるため、損傷の生成しやすい遺伝子や損傷の修復されにくい遺伝子は、変異もしやすいと考えられる。したがって、各種細胞におけるゲノム内でのDNA損傷の分布動態を知ることは、それぞれのがんに固有の発生経路を明らかにするうえで極めて重要である。しかしながら、ゲノム部位間での損傷頻度の違いを網羅的に評価するための技術は、現状確立されたものはない。申請者らはすでに、損傷DNAを認識する抗体を使用した免疫沈降法(略称:DnaIP)により試料ゲノムから損傷部位を選択的に収集する技術を開発し、その検証結果を報告している。本申請研究では、ChIP-Chip法(クロマチン免疫沈降の産物を、ゲノムアレイにより網羅的に解析する方法)にならってDnaIP-Chipを施行し、DNA免疫沈降産物の完全なゲノムマッピングを目指した。 本研究課題は、鉄ニトリロ三酢酸誘発げっ歯類発がんモデルの標的細胞について数種の酸化的DNA損傷に対する免疫沈降を施行し、それらのゲノム内分布の決定を行うものである。 正常時および鉄ニトリロ三酢酸腹腔内投与後3時間(酸化ストレス亢進時)のマウス腎組織を採取し、ゲノムDNAを抽出した。8-オキソグアニンおよびアクロレイン修飾アデニンに対する抗体を使用して、DNA免疫沈降を実施した。免疫沈降の実験系の改良を行い、標的のDNA損傷に対してより特異性の高いゲノムライブラリーを得ることに成功した。本ライブラリーを高密度のCGH用アレイにより解析した。遺伝子の種類ごとにDNA損傷の蓄積頻度を分析し、酸化ストレスに対して感受性を示す部位を特定した。さらに、8-オキソグアニンの修復酵素であるOgg1を欠損するマウスに対しても同様の解析を実施し、ゲノム部位ごとの修復効率の違いについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA断片を免疫沈降する実験系において種々の方法を検討したが、その過程でいくつかの改良案が見つかり、それらの検証作業に時間を要したため、当初の計画に対しては遅れが発生してしまった。より精度の高い検出系が確立できたものと考えられ、後ろの工程の効率性および得られる結果の重要性が向上するものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
技術的に重要な課題は解決されていると考えられるので、今後は当初の計画に従ってデータ取得に努める。
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Research Products
(3 results)