2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞遺伝子改変法BRCA1へテロ欠失細胞の作成と解析
Project/Area Number |
22500999
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小西 裕之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20344335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 好孝 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60229193)
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30557096)
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Keywords | ヒト細胞遺伝子改変 / BRCA1 |
Research Abstract |
前年度までに、2種類の非癌ヒト乳腺上皮細胞株(自然不死化細胞株MCF-10AおよびhTERT導入による不死化細胞株hTERT-IMEC)に対して遺伝子ターゲッティングを行い、それぞれ複数のBRCA1ヘテロ欠失クローンを樹立している。 平成22年度は、まずBRCA1ヘテロ欠失クローンがDNA二重鎖切断に対する相同組換え修復能の不全を示すか否かを検討した。GFPタンパク質の発現量を指標としてDNA相同組換えを定量しうるベクターをBRCA1ヘテロ欠失クローン群と対照クローン群(親株など)に安定導入し、それぞれのクローンから複数の単一細胞由来サブクローンを樹立した。各サブクローンにI-SceIによるDNA二重鎖切断を導入し、GFPシグナルを測定したところ、BRCA1ヘテロ欠失クローンに有意な相同組換え能の低下を認めた。続いて、BRCA1ヘテロ欠失に起因するDNA修復異常がゲノムのコピー数異常を誘導するか否かを検討するため、上記の両細胞群をSNPアレイで解析した。その結果、BRCA1ヘテロ欠失クローンのゲノム各所に散発的なコピー数低下を認めた。一方、DNA修復と並んでBRCA1の重大な関与が示唆されている細胞周期G2期チェックポイントに関しては、照射後早期・後期のいずれにおいてもBRCA1のハプロタイプによる有意な違いは認められなかった。DNA障害性薬剤への感受性に関しては、BRCA1ヘテロ欠失クローンのアドリアマイシンに対する高感受性を認めた一方で、PARP阻害剤に対する感受性はBRCA1ヘテロ欠失クローンと対照細胞の間で有意差を認めなかった。これらの研究結果は、遺伝性乳癌の発生におけるBRCA1ヘテロ欠失の役割を解明する上で重要な糸口になると考えられた。
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Research Products
(7 results)