2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞遺伝子改変法によるBRCA1へテロ欠失細胞の作成と解析
Project/Area Number |
22500999
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小西 裕之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20344335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 好孝 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60229193)
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30557096)
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Keywords | ヒト細胞遺伝子改変法 / BRCA1 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、不死化されたヒト非癌乳腺上皮細胞株(自然不死化細胞株MCF-10AおよびhTERT導入による不死化細胞株hTERT-IMEC)の持つ2本の野生型BRCA1遺伝子アレルのうち1本を遺伝子ノックアウト法によって破壊し、複数個のBRCA1ヘテロ欠失クローンを樹立した。また、DNA二重鎖切断に対する相同組換え修復能が同クローン群において機能不全に陥っていることを明らかにした。本年度は、このDNA修復能不全によって同クローンが癌形質を獲得するか否かを検討した。 まず、ヒト非癌乳腺上皮細胞株は培地中の上皮成長因子(EGF)に依存して増殖する一方、癌遺伝子の過剰発現によって同細胞株に形質転換を誘導した場合はその依存性が失われることを利用し、BRCA1ヘテロ欠失クローン群と対照細胞群をEGF含有・非含有両方の条件で培養し、増殖速度を計測した。また、同クローン群の足場非依存性増殖能を検討するため、軟アガロース半固形培地培養を行った。その結果、予想と異なり、EGF含有培地における培養で同クローン群の細胞増殖速度が対照細胞群に比べて有意に低下していることを見出した。これは、BRCA1ヘテロ欠失によりゲノム複製時のDNA修復能不全が発生し、同クローン中の一部の細胞集団が増殖停止または細胞死をきたすことによるのではないかと推察された。一方、軟アガロース培地では両群共にコロニー形成を認めなかった。さらに、BRCA1ヘテロ欠失クローン群を免疫不全マウスの皮下に移植しても腫瘍を形成しないという実験結果から、同クローン群には有意な形質転換の徴候が見られないものと結論した。これは、BRCA1ヘテロ欠失は細胞にDNA修復能不全をもたらすことで癌化の初期段階に関与する可能性が高いが、BRCA1ヘテロ欠失だけでは癌化の進行には不十分であることを示唆するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より実施予定であった単層培養における増殖因子非依存性増殖能の評価、足場非依存性増殖能の評価、マウス造腫瘍能の検討について、いずれも新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに研究を推進する。樹立した細胞クローンの培養条件を注意深く設定した後、RNA抽出、プローブ作製からマイクロアレイ解析へと進み、BRCA1ヘテロ欠失群と対照細胞群の遺伝子発現プロファイルを比較する予定である。
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Research Products
(6 results)