2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス1型由来のゲノム産物による宿主転写ネットワークの撹乱
Project/Area Number |
22501000
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
大島 隆幸 徳島文理大学, 香川薬学部, 准教授 (10397557)
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Keywords | 転写制御 / SUMO化修飾 / 翻訳後修飾 / HTLV-1 / 発がん |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルスであるHTLV-1はヒト成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスであり、感染者は世界で約2000万人、日本では約100万人と推定されている。平均60年という長い潜伏期間を経て、キャリアの約3%がATLを発症するが、その発症メカニズムは不明であり、効果的な治療法も無い。これまでに白血病細胞の増殖や宿主転写制御因子の活性変換を介した細胞機能の撹乱には、TaxとともにHBZが深く関わることが報告されている。特にTaxによる細胞の不死化やアポトーシスの抑制活性等は、HTLV-1感染細胞の初期段階でがん化に深く関与すると示唆されている。しかしATLを発症した患者のT細胞では、5'-LTRの欠損や高メチル化によりTaxを含むアクセサリータンパク質は発現していない場合が多く見られる。一方、3'-LTRから転写されるHBZはすべてのATL発症患者由来の細胞に発現が認められるため、急性期への転換、あるいはATL発症そのものに深く関与することが示唆されている。そこで本研究では、TaxとHBZの細胞内での生理機能を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、1),Taxによる5'-LTRからの新規転写抑制機序2),HBZは核内外をシャトルしていることを明らかにした。またHBZと相互作用する宿主因子を多数同定し、それらのうち幾つかの因子に関しては実際に細胞内で相互作用すること、またお互いの結合最小領域を決定した。
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