2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス1型由来のゲノム産物による宿主転写ネットワークの撹乱
Project/Area Number |
22501000
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
大島 隆幸 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10397557)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | ウイルス / 発がん / 薬学 / 遺伝子 |
Research Abstract |
HTLV-1は成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1随伴髄膜症/熱帯痙性麻痺(HAM/TSP)の原因となるヒトレトロウイルスであり、特にATLは極めて悪性度の高い白血病であり、発症した患者はその半数が1年以内に死亡する。本研究では、ウイルスゲノムのマイナス鎖にコードされるHBZタンパク質と宿主因子との相互作用に着目し解析を行った。その結果、HBZは核内外をシャトルしていること、また細胞質においてDNA損傷や様々な外界からのストレスに応答して発現誘導される宿主因子群と相互作用することを見出した。HBZの核外輸送機構の詳細を解析した結果、HBZのN末端30アミノ酸には、核外輸送担体の一つであるCRM1が相互作用すること、またスプライシングアイソフォーム間では核外輸送シグナルの数が異なることを明らかにした。さらにアルキル化剤の一つであるMMS処理により細胞にDNA損傷を与えると、HBZの局在は核から細胞質へ移行することを見出した。この細胞質局在には、少なくとも一部はGADD34との相互作用が重要であり、またHBZはGADD34の機能を負に制御することを明らかにした。特に翻訳や細胞増殖の制御因子であるmTORシグナル系の活性化をすること、また飢餓状態で誘導されるオートファジーを顕著に抑制することを見出した。これらの知見は、HBZは核外においても宿主細胞機能へ影響を与えることを示唆するものであり、今後は核内のみでなく細胞質因子との相互作用を介した生理学的意義の解析が重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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