2010 Fiscal Year Annual Research Report
Ahレセプターを介するベータカテニン分解および炎症の抑制による大腸癌抑制作用
Project/Area Number |
22501001
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
生田 統悟 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (00262072)
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Keywords | 大腸がん / 炎症 / サイトカイン / β-catenin / 三次元培養 / 盲腸 / Ahレセプター |
Research Abstract |
1炎症性サイトカインの発現に与えるAhRの作用 1)炎症性サイトカイン量の比較:AhR KOマウスにみられる盲腸の自然発がんに与える炎症作用の影響を調べるため、炎症が低下しているASC KOマウスと掛け合わせたAhR・ASC二重遺伝子KOマウス(DKO)を作製した。LPS刺激後の血中IL-1β、IL-6濃度は、AhR KOで有意に高く、DKOでは低下した。また腹腔マクロファージに由来する成熟型IL-1βについても同様であった。さらに細切した盲腸組織の培養上清に含まれるIL-1β、IL-6濃度も、AhR KOでより高い数値を示した。これらより、盲腸の発がんと、炎症性サイトカインの発現とは相関関係にあることが示唆された。 2)サイトカインのシグナル伝達経路と発がん:マウスの腸におけるSTAT蛋白の発現と活性をimmunoblotにより調べた。各STAT分子種の中でもSTAT3は、AhR KOに見られる発がんと正の相関があることが示された。 2腸上皮細胞におけるAhRの作用 初代培養系の確立:生後1-2週齢のマウスの盲腸~直腸をコラゲナーゼ処理して得た細胞を、コラーゲンゲル内で培養した。3日目には上皮細胞の細胞塊が見え始め、1月以上の培養が可能である。この間、crypt様の構造がゲルの中に再構築される。凍結切片を作製し、免疫染色をすることにより、これらの細胞塊がE-cadherinを発現する上皮性細胞であること、Ki67を発現しており増殖能力を維持していることがわかった。この培養系は、サイトカインを添加することや間質に存在する細胞とco-cultureすることにより、がん化に関わる因子の解析に役立つことが期待される。
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