2010 Fiscal Year Annual Research Report
Mlh1ヘテロ欠損マウスを用いた遺伝性非腺腫症性大腸がん発症モデルの開発
Project/Area Number |
22501002
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
柿沼 志津子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, チームリーダー (20392219)
|
Keywords | 大腸がん / リンパ腫 / ヘテロ欠失マウス |
Research Abstract |
本研究の目標は、Mlh1ヘテロ欠損マウスのリンパ腫または大腸がん誘発モデルを構築し、発生する腫瘍がヒトのモデルとなるかを検証することである。また、得られるがんの解析からリスク要因や標的遺伝子を提唱する。我々は、これまでにホモ欠損マウスの発がん解析から、リンパ腫または大腸がんの誘発に放射線照射と炎症剤投与が有効であることを明らかにした。そこで、本研究では単独処理またはこれらの組み合わせでの発がん処理によるがんの誘発を検討した。 Mlh1変異マウスは、凍結保存してあるMlh1ヘテロ欠損と野生型の受精卵を融解胚移植して個体を作製し、得られたヘテロマウス♂♀からMlh1ホモ、ヘテロおよびワイルドマウスを作製した。 Tリンパ腫誘発モデルについては、Mlh1ホモ欠損マウスのX線2Gy全身1回照射群(胎生17日)と非照射群について、寿命解析と胸腺リンパ腫および脾臓リンパ腫の発生率の解析、Ikarosとp53の変異解析、マイクロサテライト不安定性(MSI)解析および細胞系列の解析(T細胞かB細胞)を行った。その結果、胎児期被ばくは、胸腺リンパ腫の発生を促進しないが、脾臓リンパ腫のうちB細胞リンパ腫の発生を促進することが明らかになった。胸腺リンパ腫ではIkarosのフレームシフト変異と高頻度のMSIが観察されたが、脾臓リンパ腫では、Ikarosの変異は認められずMSIも胸腺リンパ腫に比べて低頻度であった。遺伝子変異や発がん感受性に関して臓器依存性が示唆された。 大腸がん誘発モデルについては、Mlh1ヘテロ欠損マウスとワイルドタイプマウスにX線2Gy全身照射(2週齢と7週齢)と炎症剤(デキストラン硫酸塩DSS)の組み合わせで複合曝露する発がん実験を設定した。飼育観察を継続し23年度に大腸がんの発生率を解析する予定である。
|
Research Products
(3 results)