2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規LRP6結合蛋白質Krtap13によるWnt経路活性化の生理的意義の解明
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22501008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳川 伸一 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (70183978)
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Keywords | Wnt / シグナル伝達 / ケラチン結合蛋白 / 癌 / LRP6 |
Research Abstract |
WntのCo-receptorである一回膜貫通型蛋白LRP6の細胞質ドメインに結合する蛋白として、Keratin associated protein 13 (Krtap13)を、見いだした。 Wnt非存在下、Krtap13を強制発現させるだけで、Wnt経路の著しい活性化が生じた。Krtap13の強制発現は、β-catenin蛋白質の蓄積を誘導し、細胞の増殖を促進した。Krtap13は、細胞膜上で、LRP6-Dv1凝集体を形成させ、そこへWnt経路の負の制御因子Axinを引き寄せる事を介して、Wnt経路を活性化しているとのモデルが考えられた。 Krtap13の強制発現によるWnt経路の活性化が与える影響を、in vivoで解析する為、公汎な組織での発現が可能なCAGプロモーターとヒトKrtap13のcDNAの間にlox-polyA-lox配列を挿入したTrans gene(Tg)を作成した。このTgは、Creの存在下においてのみrecombinant Tg (R-Tg)が生じ、Krtap13の発現がなされる。従って、このTgマウスと組織特異的にCreを発現する種々のCreマウスを交配する事より、Krtap13を種々の組織で高発現させる事が出来る。 Keratin5-Creマウスとの交配による皮膚での発現の場合、R-Tgを持つマウスが生まれ、正常に生育した。一方CAG-Creマウスとの交配によっては、全くR-Tgを持つマウスは、誕生しなかった。従って、公汎な組織でのKrtap13の高発現は、胚死を誘導すると考えられ、現在その詳細を解析している。またalbumin-Creマウスを用いて、肝臓でのKrtap13の高発現の効果も解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAG-promoterによりKrtap13が、公汎な組織で発現された場合、多くの組織でWnt経路の活性化が生じ、胚死に至る事を予想していたが、本研究は、それを実証し得た。また、Keratin5-Cre、Albumine-Cre-マウスを入手し、それぞれ、皮膚および肝臓でのKrtap13の発現の準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
多くの組織でKrtap13が高発現すると、胚死に至る理由を、解明する事によって、Krtap13が発生初期に及ぼす影響を解析する。 更に、皮膚および肝臓でのKrtap13の高発現が、組織の異常や、腫瘍を誘発するかに注目して解析する。
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