2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞の走化浸潤を担うダイナミンナノクリップ:新たな制ガン剤の分子標的
Project/Area Number |
22501013
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 匡史 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (60423282)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80325092)
渡部 昌実 岡山大学, 岡山大学病院, 准教授 (70444677)
|
Keywords | 浸潤 / ダイナミン / がん / 遊走 |
Research Abstract |
アクチン重合を指標としたダイナミン阻害剤スクリーニング 平成22年度に引き続き、アクチンの動態を指標とした阻害剤スクリーニング法を用いて、さらに84種類の低分子化合物の阻害効果を調べた。その結果、3分子が、これまでスクリーニングした分子より、同等もしくは強力であった。今回、スクリーニングに供した分子のいくつかは、現在臨床系で、他の目的に使われ、アクチン動態に関する効能が未知の薬剤であった。既に、これら薬剤は、人への安全性が確認されている。これらの結果は、アクチン動態を標的とした創薬を考える上で、幅広い展開が可能になる重要な結果である。さらに、スクリーニングを進め、これら分子と活性阻害との構造相関を調べ、スクリーニングに活かしていく。 ダイナミンによるアクチン制御機構 ダイナミン阻害剤であるダイナソアの仮足形成阻害様式は、アクチン線維を急速に不安定化させ、脱重合を促進することによる(Yamada et al., BBRC, 2009)。しかしながら、急速なアクチン線維の不安定化は、ダイナミン・コルタクチン複合体の脱共役のみでは、説明できなく、その他因子の存在(シグナル伝達を含む)が示唆される。この因子の探索を行うためアクチン重合阻害分子の側鎖を有機化学的に修飾し、結合するタンパクを単離するシステムを構築中である。本年度は、修飾による阻害効果への影響を調べ、有効な側鎖修飾基を探索した。 ダイナミンは、リン酸化によりエンドサイトーシスにおける機能が調節されている。アクチン制御においても、前述のようなリン酸化による制御が起こるのか否かを調べている。本年度は、試験管内で、コルタクチンがSrcとは異なるキナーゼによりリン酸化されることを実証した。さらにリン酸化部位も同定した。来年度も引き続き、これらコルタクチンのリン酸化部位の変異体のアクチン骨格への効果を調べる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アクチン動態を変化させる分子のスクリーニングは、順調に行われており、さらに新規な効果のある分子が発見された。さらに、既に、別の用途で使用されている薬剤のいくつかが、アクチン制御を行う可能性を初めて発見した。これら発見は、創薬を考える上で、非常に重要であると考えられる。ダイナミン・コルタクチンによるアクチンバンドリング機構の解明は、リン酸化制御が実際に存在しうる結果を得た。次年度は、これら詳細を、調べていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には、アクチンの動態を変化させる分子の試験管内での実験によるスクリーニングと、細胞生物学的、生化学的手法を用い、細胞レベルで、ダイナミン・コルタクチンによるアクチンバンドリング機構を解析する。共同研究者の山田博士、渡部博士と密接に連携して遂行する。
|
Research Products
(3 results)