2012 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の発生や進展に寄与するmicroRNA及びnon-codingRNAの同定
Project/Area Number |
22501015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 浩平 九州大学, 大学病院, 准教授 (50363560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 豊樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (30264112)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ncRNA / 8q24 / PICT1 / 19q13 / mTOR / XIST / 染色体再構成 |
Research Abstract |
われわれはこれまでに大腸の発癌や進展に寄与するnon coding RNAを同定する上で、二つのアプローチを鋭意進めている。ひとつはGWASの結果から同定された多型近傍に落ちているcoding遺伝子がなくncRNAの存在が考えれる場合。二つ目はこれまでに大腸癌で報告されていないmicroRNAに着目。三つ目はPublic databaeから予後との関係が明らかなゲノム領域に存在する遺伝子をコードしない転写産物について注目した。 【1】大腸発癌関連多型研究(GWAS)で10pl4を同定。また欧米で既知の多型として8q24.21も日本人での再現性を確認した。 われわれは8q24多型領域にひとつのnon-coding RNAを同定し、(1)ncRNAの発現と8q24多型のgenotypeとが一致すること、MSS症例群の腫瘍部においてのみこのncRNAが過剰発現していること。(2)ncRNAを形質導入した大腸癌株化細胞ではSKY解析で明らかに染色体数、あるいは変異の形が、対照群に比べて異なること、(3)コロニー形成能が高まること、(4)5-FU耐性を示すこと、などを明らかにした。本研究が大腸発癌関連多型と関連する最初のncRNAとして、現在も投稿中(Genome Res, revising)である。一方、既知の大腸発癌関連多型19q13においても、われわれは日本人で再現性を確認することができた。この多型の近傍に存在するPICT1遺伝子は、その過剰発現により核小体内のRPL11を核小体内にとどめさせ、MDM2のp53ユビキチン化を促進することを明らかにした。同遺伝子の発現症例はp53変異型に比べ野生型症例において予後増悪因子となることを明らかにした(Sasaki M.,мimriK., et al. Nat Med 2011)。 【2】Kalimuthoらは大腸癌患者の糞便および腫瘍組織中でmiR-144*の有意な発現上昇を明らかにし癌患者のスクリーニング応用への可能性を提唱している。しかしながら、大腸癌原発巣におけるmiR-144の発現状況についてはよくわかっていない。われわれはmiR-144の発現低下がmTOR経路を活性化させて大腸癌の予後不良に相関することを明らかにした。Rapamycinへの感受性マーカーとしての可能性を示した(Iwaya T, Carcinogenesis 2013)。 【3】In silico解析から大腸癌予後との有意な相関を示す、ncRNA(x染色体上)を同定した。x染色体の不活化に関わるXISTやこれを抑制するTSIXなどのnon-codingRNAが存在するが、その後発現とXIST,TSIXとは無関係。正常組織では発現が低く、腫瘍組織で増加し、高発現群で予後不良である。2か所のsiRNAによるknock down実験でHT29の増殖抑制を確認した。発現プロファイルから染色体再構成に関わる分子として考えられた(現在、論文投稿中である)。
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Research Products
(5 results)