2010 Fiscal Year Annual Research Report
非バイアス性ゲノムワイドアプローチを用いた新規ガン協同遺伝子の同定と解析
Project/Area Number |
22501020
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内藤 拓 独立行政法人理化学研究所, 免疫転写制御研究チーム, 研究員 (10568728)
|
Keywords | リンパ腫 / Ikaros / Notchl / T細胞分化 / ガン抑制 |
Research Abstract |
Ikarosは免疫T細胞の正常な分化や機能に必須な遺伝子発現調節因子であり、その変異はヒトやマウスにおいてリンパ腫の発症に関与することが知られている。Ikarosによるリンパ腫抑制機構の一つとして最近Notchlの発現抑制が明らかにされた。しかし遺伝学的な解析などからは、IkarosがNotchシグナル伝達系とは独立な経路によってもリンパ腫抑制を行っていることが強く示唆される。そのような経路を明らかにすることは、Ikaros変異が関与する難治性リンパ腫の新たな治療法につながると期待される。これを念頭に本研究課題ではその経路に関与するIkarosターゲット遺伝子を同定、解析することを目的としている。 本年度はまず、Ikaros変異胸腺細胞の遺伝子発現プロファイル、および抗Ikaros抗体を用いたChIP-seqのデータから同定されたIkarosの標的遺伝子群を、活性化Notch発現T細胞の遺伝子発現プロファイルと比較して絞り込み、さらにその予想される遺伝子機能や分化・発生における発現プロファイルなどにより優先順位を決定した。その上位20余の遺伝子についてノックダウン、あるいは過剰発現ベクターを構築し、そのT細胞分化における機能をfetal thymic organ cultureの系を用いて評価した。Positive controlとして用いたIkarosノックダウンベクターではDN-DP移行期の過剰な細胞増殖、およびCD4+SPへの偏った細胞分化が見られた。現在のところスクリーニングした遺伝子でノックダウンあるいは過剰発現によりIkaros変異様の表現系を示すものはなかった。引き続き他の候補遺伝子の機能スクリーニングを進めるとともに、Notchとの相互作用についても検討する予定である。
|