2012 Fiscal Year Annual Research Report
非バイアス性ゲノムワイドアプローチを用いた新規ガン協同遺伝子の同定と解析
Project/Area Number |
22501020
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
内藤 拓 東邦大学, 医学部, 講師 (10568728)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | T細胞分化 / リンパ腫 / エピジェネティクス / 細胞増殖 |
Research Abstract |
転写因子Ikarosの変異は、マウスとヒトでともにT細胞性リンパ腫の発症に関与する。したがってIkaros変異によるリンパ腫形成・悪性化の分子機序の理解は、リンパ腫の新たな治療標的の同定につながると期待される。前年までの研究で、Ikaros変異によりIkaros標的遺伝子座においてヒストン修飾の一つであるヒストンH3K27トリメチル化(H3K27me3)が低下していることが見いだされた。このことはH3K27me3の低下がリンパ腫発症に関与する可能性を示唆する。これについて検討するため、H3K27me3を触媒する複合体のサブユニットをコードするEed遺伝子座のT細胞特異的遺伝子破壊マウスを作成し、T細胞分化および細胞増殖を中心に解析を行った。 Eedを未成熟T細胞において欠失させたマウスではDNステージからDPステージ、およびDPステージからSPステージへの移行が部分的に阻害された。末梢由来のEed欠損成熟T細胞を解析した結果、T細胞受容体(TCR)依存的な細胞増殖に部分的な障害が見られたため、Eed欠損による胸腺細胞分化の阻害はTCRを介したシグナル伝達系の不全に由来すると考えられる。興味深いことにTCRを介さずにTCR下流のシグナル伝達を活性化することで細胞増殖を誘導したところ、TCR刺激とは逆にEed欠損細胞の方が野生型細胞と比べて細胞増殖が亢進することが明らかとなった。このことはH3K27me3レベルの低下がT細胞増殖自体には有利に働くことを示しており、Ikaros変異で見られたIkaros標的遺伝子座におけるH3K27me3がリンパ腫発症・悪性化に直接関与するという仮説と合致する。しかし現在まで10ヶ月齢のEed欠損マウスではリンパ腫の兆候は見られず、リンパ腫発症には別な経路との協調が必要な可能性が示唆された。今後その可能性も視野にさらなる解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|