2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規p53標的遺伝子Mieapのミトコンドリアを標的とした腫瘍抑制機序の解明
Project/Area Number |
22501021
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
中村 康之 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (90569063)
|
Keywords | p53 / ミトコンドリア / ROS / 腫瘍抑制 |
Research Abstract |
我々は、がん細胞に特異的な特徴である不良なミトコンドリアの蓄積のメカニズム解明と、それを標的とした新しいがん治療法開発のための基盤をつくるため研究を行っている。その過程で、新規p53標的遺伝子としてMieapを単離同定した。Mieapは異常なミトコンドリアの修復に重要であり、またヒトがん細胞株において高頻度なメチル化を受け、不活性されていた。これらの実験結果から、不良なミトコンドリアの正常化が、がん細胞に不利に働く原因が明らかとなることが期待され、この遺伝子を用いることにより、がん治療の新しい戦略と成り得ると思われる。 Mieap機能解析のためアデノウイルスベクターを作成して、癌細胞株にMieapを強制発現させ、免疫染色や免疫電顕を行った。その結果、ミトコンドリア内にカテプシンをはじめとする幾つものリソソームタンパク質が内在していた。また、Mieap発現細胞では、非発現細胞と比較して、ミトコンドリア内の酸化タンパク質の蓄積が解消されていたことから、Mieap発現によりミトコンドリア内酸化タンパク質がリソソームにより分解、除去されていることが示唆された。また、Mieap発現細胞では、ミトコンドリアのATP合成能も高いことが明らかとなった。これらの結果から、Mieapが今まで知られていない、新たなメカニズムによりミトコンドリア品質管理を行っていることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)