2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞上のILT7/NKp44/BDCA2リガンド発現による免疫抑制機構の解明
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22501025
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20407117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Keywords | 免疫抑制 / プラズマ細胞様樹状細胞 |
Research Abstract |
昨年度までに、癌細胞上でのNKp44Lの発現をレポーター細胞で検出したところ、IFN-γによる発現増強とTGF-βによる発現低下を複数の癌細胞株で認めたことから、IFN-γとTGF-βのシグナルクロストークに関わる分子の発現とNKp44Lの発現を解析した結果、一つの遺伝子についてNKp44L発現との相関が認められた。今年度、この遺伝子がNKp44L発現を制御する可能性について検討したが、否定的な結果が得られた。また、NKp44Lを高発現する膵がん細胞株と腎がん細胞株から一方向性と両方向性のレトロウイルスcDNAライブラリーを作成し、レトロウイルス感染効率の高いマウス細胞株に発現させた後、NKp44細胞外領域とhIgGのFc部分との融合リコンビナント蛋白質を用いて染色を行い、染まった細胞をソーティングする行程を繰り返したが、回収細胞数が多いほどゲノムに挿入された遺伝子のPCR増幅効率が低いことが障害になったため、単一細胞のソーティングを試み、NKp44-hIgGFc融合タンパク質で染まる細胞クローンを得ることができた。細胞クローンのゲノムにはライブラリー由来の遺伝子が多重に挿入されていたため、これらの遺伝子群からNKp44Lを決定する作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画にはなかった新たな展開もあるが、NKp44LとBDCA2Lの分子同定がまだ完了していない点で、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のNKp44Lの発現クローニングから得られたNKp44L候補遺伝子群について、NKp44との結合を評価し、NKp44Lの分子同定を行う。今年度は特に、BDCA2Lの同定を集中的に試みる。これらの結果に基づいてNKp44L,BDCA2Lの癌病理組織免疫染色を行い、これらの発現と臨床病理学的因子との相関を明らかにする。また、ILT7L,NKp44L,BDCA2LのpDC機能抑制、Treg誘導、NK機能変化への寄与を解析するとともに、癌悪性形質への関与について検討する。癌におけるNKp44LとBDCA2Lの恒常的発現の抑制法を探索し、免疫抑制解除への応用を試みる。さらに、癌細胞膜に局在するリガンドが抗体療法の標的となる可能性について検討する。
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Research Products
(3 results)