2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22501027
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鵜殿 平一郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50260659)
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Keywords | 抗原提示 / Hsp90 / クロスプレゼンテーション / 樹状細胞 / エンドゾーム / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究では我々が作成したHsp90α nullマウス及びconditional Hsp90αKOマウスを用いて、腫瘍免疫に於けるHsp90αの役割、とりわけ樹状細胞によるクロスプレゼンテーション(XP)におけるHsp90αの機能を解析することを目的とした。さらに、エンドゾームに取り込まれた外来性蛋白抗原が細胞質へ出てくる際にHsp90αが必須である事を証明することを目指した。この目的のうち主要な部分は達成されたと考える。まず、Hsp90α nullマウス及びconditional Hsp90αKOマウスの作成、樹立は予定通りに進み、同マウスを用いてin vitro,in vivoにおけるXPにおけるHsp90αの必要性を証明する事ができた。即ち、Hsp90α null樹状細胞では可溶性抗原及び細胞関連抗原の両方のXP機能が低下していた。またシトクロームc投与マウスではXPに関係するCDllc+CD8+樹状細胞がアポトーシスにより死滅するが、Hsp90α nullマウスにおいては死滅が回避される事を証明した。即ち、投与したシトクロームcがHsp90αnullのCDllc+CD8+樹状細胞においては細胞質へ届かないことを示唆している。さらに貪食された可溶性抗原が細胞質へ移行する過程をImageStream解析及び蛍光顕微鏡解析により明らかにできた。即ち、Hsp90αnull樹状細胞においては貪食されてエンドゾーム内に入った抗原が細胞質へ移行しにくい事、またHsp90阻害剤で予め樹状細胞を処理しておくと、細胞質への移行がさらに抑制されることがわかった。生化学的に抗原貪食ファゴゾームを精製し、これにHsp90を添加するだけで抗原がファゴゾームの外に遊離されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要のところで述べたように、当初の目的であるところのクロスプレゼンテーション(XP)におけるHsp90αの機能解析を遺伝子改変マウスの作成を通して、細胞生物学的、生化学的、イメージング解析において十分に証明されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
クロスプレゼンテーションにおいては一旦取り込まれた外来性抗原がエンドゾームの孔を通過して細胞質へ移行する訳だが、その孔の分子構造については全く何もわかっていない。従って、本研究課題の今後の推進方向については、この孔の分子構造について明らかにしていきたい。これはまた世界中で競い合って研究している分野でもあり、極めて注目度が高い
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