2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA依存性キナーゼを標的とした癌治療の構築と効果予測因子の探索
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22501031
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
荒金 尚子 佐賀大学, 医学部, 講師 (20321846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末岡 栄三朗 佐賀大学, 医学部, 准教授 (00270603)
岩永 健太郎 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (60380755)
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Keywords | 肺癌 / DNA依存性キナーゼ / トポイソメラーゼIIα / DNA二重鎖切断 |
Research Abstract |
今年度は、トポイソメラーゼIIα抑制とDNA-PK抑制のdual-inhibitorであるNK314の、肺癌細胞株における抗腫瘍効果と、hnRNP B1の代理マーカーとしての有用性について検討した。 1.NK314の肺癌細胞株における細胞増殖抑制効果 20種の肺癌細胞株についてNK314の細胞増殖抑制効果を、トポイソメラーゼ阻害剤であるエトポシドと比較検討した。NK314のIC_<50>は53-427nMであり、6細胞株では500nM以上であった。一方エトポシドは、2細胞株のみIC_<50>は100-200nMだったが、残り18細胞株は500nM以上であった。 2.細胞周期解析及びアポトーシス誘導 細胞周期及びアポトーシ3の解析では、IC_<50>500nM以上の耐性株、感受性株共にG2/M停止を生じたが、耐性株ではアポトーシスは見られなかった。 3.RNA結合蛋白、hnRNP B1のDNA-PK活性、及びDNA-PK複合体に対する効果 これまで、hnRNP B1がDNA-PK複合体に会合し、in vitro DNA-PK活性を抑制したことを報告してきたが、本年は、さらに、hnRNP B1がDNA-PK catalytic subunit(DNA-PKcs)に結合し、複合体の形成を阻害することを明らかにした。 4.hnRNP B1とDNA-PKcs蛋白量の相関 20種の肺癌細胞株について、hnRNP B1とDNA-PKcs蛋白量をWestern blot法にて解析し、densitometryにて定量化した。両者は正の相関(相関係数0.995)を示したが、他のDNA修復分子であるATM、ATRとは相関しなかった。さらに、肺癌患者217人の肺癌組織を用いてtissue arrayを作成し、免疫組織化学法にてhnRNP B1とDNA-PKcs蛋白量を検討したが、同様に正の相関がみられた(相関係数0.492) 以上の結果より、新規抗癌剤NK314は、肺癌細胞に対して細胞増殖抑制効果は様々であった。hnRNP B1蛋白量はDNA-PKcs蛋白量と相関関係にあり、DNA-PK阻害剤の代理マーカーとしての可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今回用いた細胞株は腺癌がほとんどであったため扁平上皮癌、小細胞癌についての効果も検討する。 2.DNA-PK阻害剤と抗癌剤、放射線との併用効果について検討する。 3.血中hnRNP B1の簡易測定法を確立し、DNA-PK阻害剤の予測マーカーとなるか検討する。
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Research Products
(4 results)