2011 Fiscal Year Annual Research Report
高悪性度乳癌における腫瘍浸潤リンパ球の解析と治療反応性、予後予測因子としての意義
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22501039
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
津田 均 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (70217321)
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Keywords | 薬効評価と予測 / 乳癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / トリプルネガティブ乳癌 |
Research Abstract |
高悪性度乳癌[トリプルネガティブ型乳癌(ホルモン受容体(HR)陰性かつHER2陰性、TNと略)およびHER2型乳癌(HR陰性かつHBR2陽性)]におけるアポトーシスの治療感受性予測因子としての意義の検討を行った。術前全身療法が行われ、治療終了後外科手術が行われた乳癌患者の中から、TN乳癌例92例、HER2型乳癌42例、と対照の管腔型(luminal,HR陽性かつHER2陰性)乳癌46例を選択し、これらの治療前コア針生検標本のHE染色病理組織標本を見直した。アポトーシスの評価法は高倍(対物レンズ40倍)10視野あたりの個数で行い、0(5個未満),1(5~9個),2(10個以上)の3段階に分け、0~1点を低スコア、2点を高スコアと定義した。化学療法の効果は、NSABP B-18における原発巣に関する病理学的完全奏効(pCR)基準、JBCRGO1研究におけるほぼpCR(quasi-pCR,QPCR)の基準、原発巣とリンパ節転移巣両方のpCR基準の3つを検討した。アポトーシス高スコアの率は、TN型で21%、HER2型で48%と高率であったが、管腔型では2%にとどまった(P<0.001).TN型においてアポトーシス高スコア群と低スコア群の間で原発巣とリンパ節転移巣両方でpCRが得られた割合は各々47%、23%であり有意差を認めた(P=0.04).また今回検討した180例のなかで、アポトーシス高スコア群と低スコア群の間で原発巣とリンパ節転移巣両方でpCRが得られた割合は各々32%、16%であり有意差を認めた(P=0.02).腫瘍浸潤リンパ球(TIL),アポトーシスともTNBCにおいて有意な術前化学療法効果予測マーカーとなり得ることが示された。これらはHEレベルの評価であるため、今後分子レベルでより定量的な測定を工夫していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TIL、アポトーシスと化学療法に対する反応性について新しい知見を得ることができ、英文雑誌に論文掲載ができた。おおむね順調に進展していると考える。リンパ球サブセットの検討を完遂したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回検討した例のうちTILが認められた例において、治療前腫瘍組織について免疫組織化学的にCD3,CD4,CD8,FOXP3のリンパ球表面マーカーの発現を検討していきたい。CD8,FOXP3単独ではpCRと有意な関連は認められなかったので、CD4の染色結果と合わせ、サブセット間の比率と病理学的治療効果判定との関連を調べる予定である。 アポトーシスの客観的マーカーの検討、TILと関連する分子やゲノム変化の検討などもできれば行っていきたい。
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