2010 Fiscal Year Annual Research Report
Srcを標的分子とした小細胞肺癌の治療を開発するための実験的研究
Project/Area Number |
22501044
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井岸 正 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80273895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 慎吾 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10392341)
橋本 潔 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (50379640)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 分子標的治療 / Src |
Research Abstract |
平成22年度の研究計画に基づき、小細胞肺癌細胞株の増殖因子に対するレセプターの発現を検討した。H209細胞において幹細胞因子に対するレセプターであるc-kitの発現とインスリン様増殖因子I(IGF-I)レセプターの存在を確認した。この細胞を用いて、抗癌剤の感受性をMTTアッセイで検討した。H209細胞において幹細胞因子の存在下において、シスプラチン、イリノテカン、エトポシドに対する感受性は変化しなかったが、アムルビシンに対する抵抗性が増強した。Src阻害剤でもあるダサチニブは、幹細胞因子によるアムルビシン抵抗性を減弱し、その細胞増殖抑制作用を増強した。 小細胞肺癌手術検体の腫瘍組織おいてautocrine growth loop(増殖因子とそのレセプター)の存在を評価する目的で、IGF-I/IGF-Iレセプターならびに幹細胞因子/c-kitに対する免疫組織染色を行った。19の小細胞肺癌手術検体において、2つのautocrine growth loopの共存を示唆する結果が得られた。 これらを総合すると、小細胞肺癌において複数のautocrine growth loopが機能し、それらは抗癌剤特にアムルビシンに対する耐性に関連する可能性を支持する。また、ダサチニブは小細胞肺癌のアムルビシンに感受性を高める可能性があることを示唆するものと考えられる。 しかしながら、ダサチニブは種々のチロシンキナーゼを阻害するため、Src活性を阻害することで、アムルビシンに対する感受性を増強したかは現在のところ不明である。また、小細胞肺癌組織における免疫染色での検討は、2種類のautocrine growth loopの検討であり、他の候補についても評価する必要がある。
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