2011 Fiscal Year Annual Research Report
Srcを標的分子とした小細胞肺癌の治療を開発するための実験的研究
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22501044
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井岸 正 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80273895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 慎吾 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10392341)
橋本 潔 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (50379640)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 分子標的治療 / Src |
Research Abstract |
小細胞肺癌細胞株N417細胞で、小細胞肺癌化学療法で用いられるアムルビシンとSrc阻害剤であるダサチニブとの併用で相乗効果が得られることが確認されている。 異なる小細胞肺癌細胞株H69細胞において、autocrine growth factorの重要な候補であるstemcell factorの存在下で、MTTアッセイで評価すると、アムルビシンによる50%増殖阻止濃度(IC_<50>)の上昇が認められた。すなわち、H69細胞においてstem cell factorによりアムルビシン抵抗性が惹起される可能性を示す結果が得られている。H69細胞においてstem cell factorのレセプターであるc-kitの発現も確認されている。また、ダサチニブを併用することにより、stem cell factor誘導性アムルビシン抵抗性が解除される可能性が示唆された。 小細胞肺癌組織で発現するIGF-1も、autocrine growth factorの重要な候補である。しかしながら、stem cell factorとは逆にIGF-1はアムルビシン感受性を増強する可能性を示す結果が得られている。また、別の小細胞肺癌細胞増殖因子の候補であるHGFはアムルビシン感受性に影響を与えなかった。 これらの結果は、小細胞肺癌細胞株のアムルビシン感受性に対する増殖因子あるいは細胞特異性の可能性も示唆するものか、あるいは細胞培養条件により変化するものであるかは不明である。現時点では、小細胞肺癌のautocrine growth factorが普遍的に、癌細胞のアムルビシンを含む抗癌愛感受性に一定の影響を与えるかは不明であり、培養条件の変更や、他の増殖因子(gastrin-releasing peptide、neuromedinB、VEGFなど)のアムルビシン感受性に及ぼす影響を他の細胞株も含めて検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前の研究結果では、種々の増殖因子はAktを活性化しすることが知られている。我々の小細胞肺癌細胞株の検討では、Aktの抑制はアムルビシン感受性の増強につながることが確認されている。今年度の結果は、以前の結果からは想定外であり、それらの結果が本質的であるのか、実験条件で変化するものか検討を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
小細胞肺癌のautocrine growth factorが普遍的に、癌細胞のアムルビシンを含む抗癌愛感受性に一定の影響を与えるかは不明であり、培地内の血清の影響も考慮する必要がある。小細胞肺癌の重要なautocrine growth factorの候補であるgastrin-releasing peptide、neuromedinB、VEGFなどのアムルビシン感受性に及ぼす影響を、H69以外の細胞株も含めて検討する必要がある。
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