2010 Fiscal Year Annual Research Report
チミジンホスホリラーゼの作用機構の解析と阻害剤TPIの前臨床試験
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22501048
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
秋山 伸一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任教授 (60117413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 三郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40145024)
西岡 安彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70274199)
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Keywords | チミジンホスホリラーゼ / ROS / NADPH / 解糖系 / ペントースリン酸経路 |
Research Abstract |
1)チミジンボスホリラーゼ(TP)は活性酸素(reactive oxygen species ; ROS)の産生を増加させ、転写因子NF-κBを活性化し、IL-8の発現を亢進した。2)TPによるROSの産生機構についての解析を行い、TPがNADPH oxidaseを介したROSの産生を亢進することをNADPH oxidase特異的な阻害剤を用いた検討で明らかにした。さらにTPはNADPHレベルを上昇させることでNADPHオキシダーゼを介してROSの産生を亢進することが判明した。3)TPによるNADPHレベルの上昇はペントースリン酸経路の律速酵素であるglucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD)の特異的な阻害剤で抑制された。このことからTPはペントースリン酸経路を亢進することが示唆された。4)一方、大腸菌およびサルモネラ菌において2-deoxy-D-ribose-5-phosphate (dR5P)は2-deoxy-D-riose-5-phosphate aldolase (DERA)によって解糖系の中間産物であるglycelaldehyde-3-phosphate (G3P)に変換することが報告されており、TPによりthymidineが分解されて生じる2-deoxy-D-riboseは、dR5Pに変換されたあとG3Pになり、解糖系を亢進する可能性がある。そこでTPによるATPの産生について検討を行なった結果、TPはATPの産生を亢進することが明らかとなった。また、DERAsiRNAはTPによるIL-8の発現亢進、NADPHレベルの上昇、ATPの産生を抑制した。すなわち、TPはDERAを介して解糖系およびペントースリン酸経路を亢進することが示唆された。これまでの解析から、TPは解糖系およびペントースリン酸経路の代謝産物を増加させ、NADPHレベルを上昇させることでNADPH oxidaseによるROSの産生を亢進し、産生されたROSがNF-κBの活性化を介してIL-8の発現を亢進することが考えられる。
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Research Products
(10 results)