Research Abstract |
予後不良疾患の代表である成人T細胞白血病に対する,腫瘍幹細胞を根絶する可能性がある薬剤(三酸化砒素)を用いた新しい多剤併用化学療法(As-RCM療法)の治療効果を明らかにする事が本研究の目的である.本研究における新規治療法の投与スケジュールは,次の通りである.Arsenic trioxide 0.15mg/kg day 1-5, Cyclophosphamide 200mg/m2 day 1, 8, 15, 22, Prednisolone 40mg/m2 day 1, 8, 15, 22, Cytosine Arabinoside 50mg/m2 day 1, Irinotecan 50mg/m2 day 1, Methotrexate 20mg/m2 day 8, Pirarubicin 30mg/m2 day 8, Etoposide 70mg/m2 day 15, Ranimustine 70mg/m2 day 15, Vindesine 2mg/m2 day 22, Doxorubicine 30mg/m2 day 22.以上4週で1コースとし,2コース施行する.3コース目以降は,Arsenictrioxide(三酸化砒素)は,併用せず,これを除いたRCM療法を増悪まで継続する. 23年度は計7名の治療開始を予定したが,適格症例が少なく,計2名の患者を登録した.うち1名は1コース終了前に病状が悪化し,2コース目を施行できず試験中止となった.残り1名は,計2コースを施行したが,効果判定はPDで,3コース目以降の治療は追加できずに治療中止となった.治療効果は不十分であったが,幸いなことに予期せぬ副作用は観察されず,2名ともに安全に施行できた.いずれの例も砒素投与中は腫瘍の縮小効果が見られたが,その後に縮小した腫瘍が,再度増大するという経過であった.2名ともに多剤耐性の病像であったことが影響していると考えられる.
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