2012 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙者肺扁平上皮癌におけるメタロプロテアーゼによるEGFR―TKI耐性機構の検討
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22501051
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
白井 崇生 昭和大学, 医学部, 助教 (90384362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 満 昭和大学, 医学部, 教授 (10095870)
大森 亨 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10276529)
廣瀬 敬 昭和大学, 医学部, 准教授 (40307038)
山岡 利光 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (40384359)
門倉 光隆 昭和大学, 医学部, 教授 (60214417)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 上皮成長因子受容体 / ADAM17 / 喫煙者肺癌 / 扁平上皮肺癌 |
Research Abstract |
難治性癌である肺扁平上皮癌は、上皮成長因子受容体(EGFR)の高発現が報告されている。 しかしながら、EGFR遺伝子変異の検出頻度も低く。EGFR-TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)の効果が期待し難い癌腫である。 「なぜ標的分子の多い扁平上皮癌にEGFRを標的とした治療が効奏しないのか」を説明し得る確証はない。そこで、本研究では、「喫煙者でEGFR発現の多い肺扁平上皮癌は、ADAM17活性を介してEGFRを始めとするErbB受容体ファミリーのリガンド切断をすることによりErbB受容体を恒常的に活性化し、EGFR-TKI耐性あるいは他の抗癌剤耐性をもたらしているのではないか。」との仮説を立て、研究支援期間を通じて基礎と臨床の両面より立証を試みる。「基礎的検討」①肺癌細胞株においてADAM17やADAM10といったマトリックスメタロプロテアーゼが、ErbB受容体ファミリーのリガンド切断・遊離により生じる生理的現象の機序の解明。②ADAM17により切断され、ErbB受容体をトランス活性化するリガンドの同定。③担癌マウスにおけるADAM17阻害剤の抗腫瘍効果の確認とEGFR-TKIや抗EGFR抗体との併用効果の検討。「臨床的検討」①喫煙者の肺扁平上皮癌患者の気管支鏡検査あるいは手術により得られた組織切片に免疫組織学的染色を施行し、EGFRとADAM17の発現とErbB受容体ファミリーのリガンド(EGF, TGF-α, Heregulin, Amphiregulinなど)の発現についても検討する。②EGFR, ADAM17 とErbB受容体ファミリーのリガンドの発現と抗癌剤治療の効奏率について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は「基礎的検討」と「臨床的検討」の構成になっている。やや進捗が遅れている第一の要因は、手術検体の収集の遅れである。目標症例数30例に対し、現時点で約15例の集積にとどまっている。今後は、さらに積極的に患者同意の採取に努める。さらに、今後は気管支教検査の検体をこの研究課題に使用する事も検討する。「基礎的検討」である①肺癌細胞株においてADAM17やADAM10といったマトリックスメタロプロテアーゼが、ErbB受容体ファミリーのリガンド切断・遊離により生じる生理的現象の機序の解明。②ADAM17により切断され、ErbB受容体をトランス活性化するリガンドの同定。③担癌マウスにおけるADAM17阻害剤の抗腫瘍効果の確認とEGFR TKIや抗EGFR抗体との併用効果の検討。に関しては、順調に研究課題を消化している。そのため、今後は、「臨床的検討」:①喫煙者の肺扁平上皮癌患者の気管支鏡検査あるいは手術により得られた組織切片に免疫組織学的染色を施行し、EGFRとADAM17の発現とErbB受容体ファミリーのリガンド(EGF, TGF-α, Heregulin, Amphiregulinなど)の発現についても検討する。②EGFR, ADAM17 とErbB受容体ファミリーのリガンドの発現と抗癌剤治療の効奏率についての検討。について集中的に解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は支援期間を通じて基礎と臨床の両面より肺扁平上皮癌の難治性に寄与すると予想されるEGFRの役割の解析を試みる。患者検体の採取を当院呼吸器外科グループに依存している。「基礎的検討」((①肺癌細胞株においてADAM17やADAM10といったマトリックスメタロプロテアーゼが、ErbB受容体ファミリーのリガンド切断・遊離により生じる生理的現象の機序の解明。②ADAM17により切断され、ErbB受容体をトランス活性化するリガンドの同定。③担癌マウスにおけるADAM17阻害剤の抗腫瘍効果の確認とEGFR TKIや抗EGFR抗体との併用効果の検討。))に関しては、主に当大学の腫瘍分子生物学研究所で施行している。「臨床的検討」((①喫煙者の肺扁平上皮癌患者の気管支鏡検査あるいは手術により得られた組織切片に免疫組織学的染色を施行し、EGFRとADAM17の発現とErbB受容体ファミリーのリガンド(EGF, TGF-α, Heregulin, Amphiregulinなど)の発現についても検討する。②EGFR, ADAM17 とErbB受容体ファミリーのリガンドの発現と抗癌剤治療の効奏率について検討。))は、いずれも手術された肺癌患者の肺組織検体を用いる事としており、呼吸器外科グループからの検体採取に大きく依存している。現時点では、この「臨床的検討」の部分に、当初の計画と比べてやや遅れが出ており、呼吸器外科グループとの関連を密にし、一層の臨床検体の採取に努めたいと考えている。
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