2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトセプチン4ブラディオンGTPaseを標的とした抗癌剤開発の研究
Project/Area Number |
22501052
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 朝雄 東海大学, 医学部, 講師 (50192175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼島 宏 弘前大学, 医学部, 教授 (90204859)
山口 政光 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00182460)
|
Keywords | 癌 / セプチン / ブラディオン / 腫瘍マーカー医療 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
癌、特に本申請にて主たる対象となる大腸癌の治療と予後は、早期発見の可否が大きく影響している。早期病変時の自覚症状がほとんどない本申請対象癌において、ヒトセプチン4ブラディオンGTPase計測による早期診断の実効性については、現在進行形で証明されつつあるが、2012年2月23日発行のNew England J-Medicine誌上において、複数論文にて内視鏡による早期ポリープ除去(大腸洗浄含む)により、大腸癌発症予防、ひいては23年という延命効果が報告され、本研究の先駆的意義が欧米においても同時進行で認められ始めた。本研究においては、早期診断とともに新しい抗癌剤開発を推進している。しかるに、国の事業として推進されたいくつかのプロジェクトに則り、その抗癌剤候補(例えば、ベータ・ラクタム系抗生物質の一つであるセファロスポリンを産生することで知られているストレプトミセス属の産生する新規物質で、癌細胞の周辺組織浸潤阻害活性、細胞障害活性及びフリーラジカル消去活性を有する化合物)の検定をしたところ、残念ながら有効となる物質は皆無であった。そのほとんどは抗癌剤としての実質効果が認められず、また、正常細胞毒性が強いために実地に使用できる範囲の検定も不可能であった。従って、現伏利用できる化合物において、実質的に新たな抗癌剤として供せるレベルに至るものをさらに探索中である。癌治療は、対応できる進行度、浸潤以内で早期発見し、対外除去が最も効果的であり、自覚症状以前の検診レベルでいかに早期発見できるかが鍵となる、という結論は上記参照論文群と同じである。今後、本研究の最終目標である治療薬開発と同時進行で、早期発見かつ内視鏡/腹腔鏡下手術レベルで除去するという癌予防を推進することにより、本来の目的、癌撲滅へ貢献していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗癌剤開発で最も重要なものは、使用する化合物選定である。本研究にては、検定するに十分な感度・特異性を持つモニター物質を持ち、検定系も樹立しているため、他に何ら問題はない。当初予定していた、国プロジェクトにて推進されていた抗癌剤候補物質との連携を考慮し、いくつかの化合物を選定(ストレプトミセス属の産生する新規物質)、連携検定を試行すべく、実験・データ照合を行ったが、残念ながら実効価値を期待できる物質は無かった。参考として、外資系薬剤会社(ノバルティス等)にも協議・照会したが、現状で抗癌剤開発に対し、新規有効物質は認められなかった。癌撲滅という最終目標に対しては、癌マーカーとしてのヒトセプチン4ブラディオンGTPaseの有用性に基づき、早期発見に多大に寄与しているため、その内容は推進しでいるが、遅きに失した発見の場合の具体的対処策には未だ帰結していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの国内研究機関による新たな抗癌剤候補物質に有効性が認められなかったため、さらに範囲を広げて国内外企業の調査を行い、実験に資する。また、検定系としてのヒトセプチン4ブラディオンGTPaseの有用性を高め、他のセプチンとの比較を含め、生体物質・癌特異性物質としてのヒトセプチン4ブラディオンGTPaseを詳細に特徴づける。癌早期発見・治療効果の検定も引き続き推進する。
|