2012 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓癌発症メカニズムと薬物代謝酵素の遺伝子多型との関連
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22501059
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
安原 一 昭和大学, 医学部, 名誉教授 (70053999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 有希 昭和大学, 医学部, 講師 (40276572)
岩瀬 万里子 昭和大学, 医学部, 助教 (70424273)
倉田 知光 昭和大学, 教養部, 教授 (80231299)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | CYP2C19 / 転移性肝臓癌 / 遺伝子多型 / サイトカイン |
Research Abstract |
平成24年度は転移性肝臓癌患者7名より肝組織および血液の提供を受けた。CYP2C19の遺伝子型、活性、タンパクおよびmRNA量、27種のサイトカイン量を測定し、解析は昨年度までに得られた原発性肝臓癌7例、転移性肝臓癌7例の結果と合わせ、計21例で行った。その結果、肝臓および血液のCYP2C19は全例で同一の遺伝子型を示したことから、転移性肝臓癌患者で高頻度に認められる遺伝子変異は、腫瘍周辺部位で癌病態により後天的に生じるのではなく、先天的な変異が肝臓癌発症に関与する可能性が示された。しかし、CYP2C19の遺伝子型と活性に関連性が認められず、遺伝子変異がない6例においても活性はコントロール値の35%以下と低値を示した。さらに本活性はタンパク量、mRNA量と相関性を示さなかったことから、肝臓癌患者においては本活性の発現には癌病態に関わる他の因子が関与することが示唆された。27種のサイトカイン量をクラスタ分析により解析した結果、5つの群に分類され、その中でCYP2C19酵素活性が有意に異なる2つの群が明らかとなった。活性が高い群では多種類のサイトカインが変動している一方、活性が低い群では逆にサイトカインの変動が小さいことが示され、2群間でG-CSF、FGF basic、VEGF、IL-1α、MIP-1αに有意差が認められた。このことから、CYP2C19活性を維持するためにはこれらサイトカインの変動が必要であることが示唆された。本研究により、転移性肝臓癌患者においてCYP2C19遺伝子の変異は先天的に生じることが示されたが、肝臓への癌転移の早期発見に応用するためには、転移のない患者の遺伝子型を検討するなど更に詳細な解析が必要である。また、遺伝子型に相関しないCYP2C19活性の低下は、本酵素で代謝される抗がん剤を用いた化学療法を安全かつ適切に行うための重要な情報となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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