2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNAの多型の数が飲酒、喫煙による食道がん発がんリスクに与える影響
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22501063
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
組本 博司 愛知県がんセンター(研究所), 中央実験室, 主任研究員 (00291170)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 遺伝子環境交互作用 / 遺伝子多型 / 疫学 / がん |
Research Abstract |
ミトコンドリアDNAの多型の数を指標として、mtDNAの変異の入りやすさを評価し、mtDNAの多型と、食道がん発がんリスクを解析するため、食道がん患者および非がん患者のmtDNAのD-loop領域の多型を網羅的に調べ、食道がん発がんとの関連を解析する。前年度、D-loop領域の全域をカーバー出来るプライマーセットを明らかにし、解析方法を確立した。つまり、それぞれの症例について、上記プライマーを用いて塩基配列を決定し、次にそれらを結合し、D-loop領域の完全配列を得る。さらに、それぞれの症例について、解析した塩基配列とmtDNAの標準塩基配列であるケンブリッジ配列とを比較し、多型を生じている塩基を同定する。 本年度は、食道がん症例24例、および、非がん患者29例のミトコンドリアDNA D-loop領域の塩基配列を解析した。現在のところ、食道がん患者、非がん患者それぞれ、24例、29例の解析において、平均で1例当たり、12.3、12.0個の多型が見つかっている。今後、食道がん症例、非がん患者とも例数を増やすと共に、多型の種類、位置など詳細な解析が必要である。 mtDNAは一細胞当たり数百から数万の単位で存在するが、全て同じ配列であればホモプラスミー、ある特定の位置の塩基が2種類以上の塩基の場合、ヘテロプラスミーと言う。多くの場合、ホモプラスミーと考えられており、本研究計画における、塩基配列の解析において、ほぼ全ての多型がホモプラスミーであると想定している。しかしながら、塩基配列上のある部位に2種類の塩基が存在する場合、割合の少ない方の塩基が3割以上存在するときにヘテロプラスミーと定義して、今後、発がんリスクの解析の際に考慮する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初の計画では、昨年度中に、塩基配列の解析、多型の同定を完了する予定だったが、現在、多型の同定中である。塩基配列の決定は、計画通りに進行しているが、多型の同定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
食道がん症例、非がん例について、多型の同定を完了し、多型の数と食道がん発がんリスクの関係を解析する。また、個々の多型と食道がん発がんリスクの関連を解析し、食道がん発がんに関連する多型を検索する。 現在のところ、計画以上に時間を要しているが、研究を遂行する上で、技術的な問題点はない。
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