2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋境界過程の直接観測による海洋生態系モデルの高精度化
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22510004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 幸生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30371834)
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Keywords | 大気海洋境界過程 / 海洋表層生態系 / 多機能ブイ / 生態系モデル / 直接観測 |
Research Abstract |
当該研究の目的は、外洋域における大気海洋の境界過程とこれが海洋表層生態系に与える影響の実態を直接観測により解明し、海洋生態系モデルの精度を向上させることである。そのため、平成23年度は、(1)多機能ブイの実海域における運用、および(2)海洋生態系モデルの高度化、を実施した。(1)多機能ブイの実海域における運用では、昨年度に開発し、試験を行った多機能ブイについて、平成24年4月9日~16日の学術研究船淡青丸KT-12-5航海「黒潮強流帯~フロント域における3次元移流・拡散過程が海域の栄養塩供給、プランクトン種組成、イワシ類仔魚分布・生残に与える影響の解明(研究代表:小松幸生)」において、黒潮内側域に2日間漂流させ、低気圧通過時の波浪の発達に伴う表層の水温・塩分・クロロフィル・溶存酸素-濁度の連続的な変化を観測した。次に、(2)海洋生態系モデルの高度化では、昨年度に引き続き、物理場をデータ同化した海洋の低次栄養段階の生態系モデル(Komatsu et al.,2007)による追算実験を実施し、上記航海および既往の観測データと比較して、モデル精度を検証した。特に、表層混合層内においてモデルで推定した鉛直拡散係数と乱流計で直接計測した拡散係数とを比較し、また、計測した波浪情報(波高と波齢)でパラメタライズすること混合層モデルに波浪のインパクトを導入することにより、混合層モデルの再現性が向上することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多機能ブイを新たに開発し、実海域において運用をしており、また、既存の海洋低次生態系モデルの精度を検証し、混合層モデルに波浪のインパクトを導入し、その精度を向上させていることから、当初の計画通り順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り、海面フラックスのスキームと混合層スキームの改良を海洋生態系モデルに導入し、台風や前線域などの風が急変する海域での海上風に対する栄養塩と植物プランクトンの応答特性を明らかにする。
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Research Products
(7 results)