2010 Fiscal Year Annual Research Report
不織布型固相抽出材を用いる降水中微量元素の多点観測用オンサイト固定化システム
Project/Area Number |
22510007
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
加賀谷 重浩 富山大学, 理工学研究部(工学), 准教授 (50272894)
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Keywords | 環境分析 / 降水分析 / 微量元素定量 / 固相抽出法 |
Research Abstract |
降水に含まれる微量元素の分離濃縮・固定化に有用な,高分子キレート化剤を混合紡糸したキレート繊維を不織布化した固相抽出材の開発に関する研究を進めた。 1.高分子キレート化剤の最適化:エチレンイミンオリゴマーを樹脂に導入し,次いでこれをカルボキシメチル化したキレート樹脂を調製し,これの元素捕捉特性を明らかにした。エチレンイミンオリゴマーの分子量が大きくなるにつれて元素捕捉能力が増す傾向が認められた。また,カルボキシメチル化率を変化させることにより,元素捕捉能力を制御できることを明らかにした。得られた結果から,キレート繊維に混合紡糸する高分子キレート化剤の構造を,適度にカルボキシメチル化したポリエチレンイミンに決定した。 2.キレート繊維の調製:セルロースビスコースに高分子キレート化剤を混合し,湿式紡糸によりキレート繊維を調製した。この繊維による元素捕捉特性を評価したところ,元素捕捉の迅速性に優れていることを見いだした。また,元素捕捉挙動は,同様の官能基を導入した樹脂と類似しており,元素捕捉容量についても樹脂と同様の傾向を有していることを明らかにした。 3.キレート繊維の不織布化:一般的な不織布化法であるニードルパンチ法を用いてキレート繊維を不織布化した。直径47mmに切り抜き,これを市販の吸引ろ過装置に装着し,元素捕捉特性について評価したところ,同様の官能基を導入した樹脂,原綿であるキレート繊維に比べ遜色ない結果が得られた。捕捉された元素は,硝酸溶液を用いることで容易に脱離可能であった。
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