2012 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯性大型底生有孔虫の産出状況から読み解く日本海の海水温上昇
Project/Area Number |
22510009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 道雄 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (10093741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 政儀 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (10121295)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 日本海 / 大型有孔虫 / Amphistegina / 能登半島 / 無効分散 |
Research Abstract |
熱帯性大型有孔虫 Amphistegina radiata は配偶子の合体による世代,個体数を増加するための分裂を行う世代,配偶子を放出する世代の三形性の生活環を持っており,それぞれの世代間で殻の直径,最初に形成される初室の直径,産出個体数が異なっている.これらについて沖縄県で採取したA. radiataの殻の薄片を作成して詳細な測定を行い,三つの世代を区別する基準を作成した.従来あまり注目されていなかった第二室の形態で配偶子の合体による世代を区別し,次いで初室の直径で個体数を増加するための分裂を行う世代と配偶子を放出する世代とを区別した.この区別基準は,初めて明らかにしたものである. 上記の区分基準を用いて能登半島九十九湾の遺骸殻を調査した結果,配偶子の合体による世代と個体数を増加するための分裂を行う世代の2世代は確認できたが,配偶子を放出する世代は存在しないことが明らかとなった.このことは能登半島では大型有孔虫Amphistegina radiataの生活環が完結していないことを示しており,生息域を能登半島まで拡大したとはいえないことが明らかとなった.さらに,高浜原発稼働中には魚類・貝類の熱帯性生態系が認められていた島根県内浦湾では大型有孔虫殻は確認されなかった.なお,この熱帯性生態系は原発停止の数ヶ月後には消滅したとの報道がある.このように,現在日本海で産出が報告されている熱帯性大型有孔虫は,無効分散の結果日本海で認められるのであって,分布を広げているとはいえない.大型有孔虫の日本海における北限は水温情報から対馬であると判断される. 以上の成果を,2012年5月23日に地球惑星科学連合2012年連合大会(千葉県幕張メッセ国際会議場)で発表し,三世代を区別する基準を明らかにしたこと,原生動物の日本海への無効分散について言及したことに大きな反響があった.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)