2010 Fiscal Year Annual Research Report
大型底生動物の基質攪拌の定量的把握に基づく貝類への加害作用の解明
Project/Area Number |
22510015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
玉置 昭夫 長崎大学, 水産学部, 教授 (40183470)
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Keywords | 砂質干潟 / ベントス / バイオターベーション / スナモグリ / 水温 / 潮汐 / イボキサゴ / 幼生 |
Research Abstract |
西九州,天草下島の富岡湾にある砂質干潟には地下深い巣穴を造って棲む十脚甲殻類のハルマンスナモグリ(以下スナモグリ)が高密度で生息している.一般にスナモグリ類は大きな基質攪拌作用を有し,干潟のベントス群集の動態や物質循環に影響を及ぼしているが,基質攪拌量の定量的な測定はほとんど行われていない,本研究は巣穴からの砂の排出量に着目し,野外における海水の流動条件と季節による水温の変化の影響を把握し,さらに室内における1回あたりの砂排出量の水温依存性を確かめることを目的とした.さらにこれを踏まえて,巻貝のイボキサゴの浮遊幼生に対する着底阻害作用がどれくらいの個体数密度のとき,いかなる仕組みで起こるのかを室内実験で明らかにすることも目指した,今年度はまず,野外でのスナモグリによる測定方法が確立された.本干潟は外海(=東シナ海)近くに位置するため,海水の透明度が高く,潮の満ち引きに伴う干潟表面への砂の排出行動を水中ビデオによって撮影し解析するためのシステムを構築することができた。予備的な結果として,砂の排出行動は,(1)主に水深が浅い上げ潮時の強い潮流によって砂が巣穴に流入することに反応して行われること,(2)集団で同期して間欠的に行われること,(3)水温の季節変化には依存していないことが示唆された.さらに,室内実験では1個体あたり1回の排出砂量は春季・夏季の水温では0.12-0.13ml,冬季の水温では0.07mlであることが明らかになった.冬季における野外と室内における活動量の違いは今後の検討課題である.さらに,室内水槽でスナモグリ密度が160m^<-2>以上になると,それ未満の密度に対してイボキサゴ幼生の1日間の着底量が半減することが明らかになった
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Research Products
(3 results)