2012 Fiscal Year Annual Research Report
西部インド洋における溶存バリウムの化学海洋学的南北縦断マッピング
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22510018
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 教授 (00152752)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 西部インド洋 / 海水中バリウム / 堆積物間隙水中バリウム / 南北縦断観測 / 生物生産緯度変動 / 堆積物続成作用 / 海底境界層拡散溶出 / 国際GEOTRACES計画 |
Research Abstract |
過去2カ年の成果として,2010年度には,西部インド洋における溶存バリウムの南北縦断分布を明らかにした.また2011年度には,堆積物間隙水中の溶存バリウムを測定し,海底から底層水に向かう拡散フラックスを見積もった.本年度は,海水中のバリウムの分布を支配する要因を探るべく,堆積物粒子中の重晶石,オパールおよびカルサイトの地理的変動を明らかにすることを目的とした. 堆積物試料から重晶石の単離捕集効率を向上させるために,重液分離法とオレイン酸ナトリウム溶液を利用した浮選分離法を組み合わせた.その結果,アラビア海海底堆積物中における重晶石の濃度は,これより南の海域で得られた値と比較して約2倍大きかった.昨年度までの知見として,アラビア海の海底では,間隙水中の溶存バリウム濃度が著しく高く,重晶石の飽和度の約2倍に達していることが判った.すなわち,生物生産力の高いアラビア海の海底には重晶石の堆積量が高く,それが堆積物中で溶解し,間隙水を経由してバリウムが活発に底層水に拡散回帰していると結論した. 一方,これまでの研究から,Ba-Si/Nダイアグラムが表す両者の関係は,太平洋の海盆規模において直線性を示すことが判ってきた.同様に,この西部インド洋南北縦断観測結果をこのダイアグラム上にプロットすると,東部インド洋南北測線(1995年観測)から得られた直線関係とほぼ近似した傾きをもった直線関係が得られた.しかしながら,このダイアグラム上においても,アラビア海の底層水(4000db基準の海水密度で45.86以深 [3500m以深])のプロットはこの直線の傾向からずれて,より高Ba側に位置することが判った.このように高い生物生産海域であるアラビア海においては,重晶石が形成し易く,海底に堆積後も溶解し,結果として底層水中の高いBa濃度域を形成していると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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